【兵庫県公立高校】入試解説 2022年度 理科

西宮の家庭教師ダイアログによる過去問解説。今回は兵庫県公立高校入試の過去問です。

Ⅰ-1 神経のはたらき

(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)

西宮の家庭教師 かきた
西宮の家庭教師 かきた

生物分野の神経系に関する問題です。基本的な知識を問う問題です。

 

1(1)難易度:★☆☆☆☆

判断や命令を行う神経は中枢神経(脳や脊髄)です。

よって、答えは

1(2)難易度:★☆☆☆☆

「右手をにぎられたBさんは左手でとなりのCさんの右手をにぎり」とあります。

ここで起こっていることを分解していくと…

①「右手をにぎられた」こと感覚器官が感知します。

② その信号はを感覚神経により脊髄に伝えられ、さらに信号は脊髄を上に向かって脳に到達します。

③ 実験に参加した人は「左手をにぎられたら右手をにぎる」ことを事前に言われています。そのことから脳が情報処理をして、脳から「右手をにぎれ」という命令の信号が出されます。

④ その信号は脊髄を下に向かい、運動神経を伝わって、右腕・右手の筋肉に伝えられます。

⑤ 信号を受け取った筋肉が反応して収縮し、右手をにぎります。

以上のできごとを表しているのは、a→d→j→hなので、答えはですね。

(3)難易度:★★☆☆☆

まず3回の実験結果の平均を取ります。

(2.59+2.40+2.33)÷3=2.44(秒)

また、最後のJさんがにぎられ終わってからストップウォッチを止めるまでのタイムロスが0.20秒あるので、

 2.44-0.20=2.24(秒)

この時間はBさん、Cさん、Dさん、Eさん、Fさん、Gさん、Hさん、Iさんの8人ぶんの「右手をにぎられてからとなりの人の右手をにぎるまでの時間」の和なので、一人ぶんの時間は、

 2.24÷8=0.28(秒)

よって、答えは

(4)難易度:★★☆☆☆

選択肢をひとつひとつ吟味していきましょう。ポイントは「意識とは関係ない」ことと「生まれつきである(学習とは関係ない)」ことです。

ア 涙は出そうとして出すものではないので、意識的とは言えませんが、感動は意識の働きや学習と深く関係しています。例えば、赤ちゃんはどんな感動的な映画を見ても、理解できないので感動して泣くことはありませんね。×

イ 目覚まし時計の音を聴覚で感知しその信号は聴神経により脳に伝えられます。その後「止めなければ」と思うのは、「うるさくていやだ」という意識の働きや「目覚ましのボタンを押せば音は止まる」という学習によるものですね。×

ウ 地震の揺れは触覚や脳の平衡器官などで感じますが、その後「机の下に隠れなければ」と思うのは(イ)と同様に意識の働きや学習が関与しています。×

エ 梅干を見て唾液が出るのは、梅干を食べて酸っぱい味を経験したことによるものです。つまり梅干の見た目とその味の関連づけを学習したことによるもので、梅干を食べたことのない外国人の方にはこの反応は起こりません。×

オ 暗いところから明るいところへ移動したときに瞳の大きさは小さくなる反応は瞳孔反射といわれ、意識とは無関係におこります。生まれつき持っている反応で、赤ちゃんでも確認できます。猫の黒目の大きさが明るいところと暗いところで違うのは有名ですね。

ドラマなどで眼に光を当てて死亡確認をする場面がありますが、あれは瞳孔反射があるかどうかを確認しているのです。〇

よって答えは

Ⅰ-2 筋肉と骨格

2(1)難易度:★☆☆☆☆

筋肉の両端にあって、骨とつながっている白い部分を「けん」といいます。

西宮の家庭教師 かきた
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スーパーなどに売ってる鶏肉をよく観察すると、皮や脂肪以外に白っぽいひものような部位があります。それが腱(けん)です。かたいので料理するときには取り除きます。

2(2)① 難易度:★☆☆☆☆

前腕の骨を「てこ」とみなしたとき、荷物がつるされた点が作用点、筋肉(けん)がくっついている点が力点、ひじの関節が支点となります。

よって、

(2)② 難易度:★★☆☆☆

①で確認したように、上腕の骨をてことして考えましょう。

点Bにはたらく力をx(N)として、てこの釣り合いを考えると、

 300 ×(22+3)=x×3 これを解いて、x=250(N)

(3)難易度:★★☆☆☆

筋肉は原則、関節をまたいで2本の骨につながっています。その筋肉が縮むとどの関節が曲がるのか(伸びるのか)を考えてみましょう。

まとめると、以下の表のようになります。

関節を曲げる筋肉関節を伸ばす筋肉
うで(ひじ関節)
手首

手首はもともと伸びているので、うでと指を伸ばすことを考えると…

FとDの筋肉が縮み、IとGの筋肉がゆるめば良いことが分かります。

 

Ⅱ-1 岩石

(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)

西宮の家庭教師 かきた
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地学分野の岩石に関する問題です。基本的な知識の確認とグラフを読み取る力を試されます。

 

1(1)難易度:★☆☆☆☆

まず、Aは大きい①が細かい②のあいだに散らばっているので、③は等粒状組織ではなく、斑状組織でしょう。

斑状組織は石基と斑晶からなります。石基はマグマが急激に冷やされ結晶になれなかった部分、斑晶はマグマが地中でゆっくり冷えてできた大きな鉱物の結晶の部分です。

よって、大きい鉱物である①が斑晶、細かな粒子の②が石基です。

以上より、答えは

1(2)難易度:★☆☆☆☆

選択肢のうち、火山岩はの流紋岩だけです。

花こう岩、せん緑岩、はんれい岩は深成岩です。

(3)難易度:★★☆☆☆

文章に「白色、無色の鉱物が多く」とありますね。グラフを見ても無色鉱物であるセキエイやチョウ石はマグマのねばりけを高くします。これは、これらの鉱物の融点が高いことと関係しています。

なお、「緑黒色で形が長い柱状の鉱物」という特徴はカクセン石のものですが、微量ですので、マグマ全体の性質には大きな影響がありません。

マグマのねばりけが強いと、火山の噴火は激しく爆発的になり、火山の形はドーム型になります。

よって、⑤・⑥の組み合わせは、火山の形の模式図はとなります。

(4)難易度:★★☆☆☆

選択肢をひとつひとつ吟味していきましょう。

ア → マグマのねばりけが最小(グラフの左端)のとき、チョウ石は30%未満、セキエイはほぼ0%です。×

イ → マグマのねばりけが最小(グラフの左端)のとき、有色のカンラン石が60%以上あります。×

ウ → グラフを左から右(ねばりけ小から大)へ見ていくと、カンラン石の割合は減り、カンラン石の割合が0%になったくらいのところからどんどんセキエイの割合が増えていることが分かります。〇

エ → マグマのねばりけが最小(グラフの左端)のとき、チョウ石だけでも20%以上あります。×

 

Ⅱ-2 地震

(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)

2(1)難易度:★☆☆☆☆

選択肢をひとつひとつ吟味していきましょう。

① 地震のもととなる岩盤の破壊により、P波とS波は「同時に」発生します。×

② 初期微動はP波によるゆれです。〇

③ P波とS波の速度の差により届く時間時間に差ができるので、震源からの距離が遠くなるほど波の届く時間差は広がります。

④ マグニチュードは地震の規模をあらわします。深さなどの条件が同じとして、異なる規模の地震が起きると、マグニチュードが大きいほど震度が多きく、広い範囲に揺れが広がります。〇

よって、の②と④。

2(2)難易度:★☆☆☆☆

グラフをかいても良いですが、計算で出す方が正確です。

A地点とB地点の初期微動の開始時刻に注目しましょう。

震源からの距離初期微動の開始時刻
A地点72㎞8時49分24秒
B地点60㎞8時49分21秒
12㎞3秒

2つの地点の差をとると、A地点はB地点よりも震源から12㎞はなれた位置であり、B地点よりも3秒おくれて初期微動が届いたことになります。

よって、初期微動をおこすP波の速さは、

 12 ÷ 3=4(㎞/秒)

ここで、A地点は震源から72㎞離れているので、
P波が到着するまでに72÷4=18秒かかることが分かります。

よって、P波が震源を出発した時刻、すなわち地震の発生時刻は、

  8時49分24秒 - 18秒 = 8時49分6秒

よって、

(3)難易度:★★☆☆☆

緊急地震速報が各地に届いた時刻は、

  8時49分21秒 + 4秒 = 8時49分25秒

ここで、主要動をつたえるS波の速さを考えるために、改めてA地点とB地点を比較します。

震源からの距離主要動の開始時刻
A地点72㎞8時49分30秒
B地点60㎞8時49分26秒
12㎞4秒

主要動をおこすS波の速さは、

 12 ÷ 4=3(㎞/秒)

よって、震源から105㎞離れた地点に、S波により主要動が伝わる時刻は、

  8時49分6秒 + (105㎞ ÷ 3㎞/秒)= 8時49分41秒

これは、緊急地震速報が届いてから16秒後です。よって、

(4)難易度:★★★★

西宮の家庭教師 かきた
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この問題はかなり難しく、あまり良い問題とは言えません。

「エ」が正解なのですが…「イかエ」というところまではしぼれますが、中学理科の知識ではなかなか解けず、論理的に考えても自信をもってエを選ぶことは困難です。

よって、解けなくてもまったく気にしなくても良いと思います。しかし、とても面白い内容を含むので、ぜひ参考にしてほしいと思います。

「太平洋側の海洋プレートが東から西へ移動し、陸のプレートの下にもぐり込む」ことは知っているでしょう。日本で起こる地震の多くはこの太平洋プレートの沈み込みの影響で起こります。

「日本付近のプレートの模式図」(気象庁HPより)

地震はプレートの境目付近で起きるので、地下の断面をXから(南から北方向を)見ると震源の分布はア、それを裏側のZから(北から南方向を)見るとウのようになることが分かります。アとウが除外できますね。

一方、Wから(西から東方向を)見るとどうなるでしょう。予想図はこんな感じです。

太平洋プレートの沈み込みは観察範囲の南北全体にわたっています。それをW方向から見るということは、横幅の広いすべり台を正面から見るようなものです。よって、太平洋プレート上の震源は全体にまんべんなく広がっているはず。そこへフィリピン海プレートの南から北への沈み込みの様子による地震の分布が重なって見えるはずです。

ここで選択肢を見てみると、エがフィリピン海の沈み込みを反映しており、予想図に近いように見えます。

ただし、左下部分になぜか地震が起きていない点がかなり目立ちます。それが何を意味するのかを考え出すと、自信をもってエを選べなくなってしまいます。

西宮の家庭教師 かきた
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「震源が太平洋側よりも日本海側の方が深くなることが多い」という知識を思い出してしまい、イを選んでしまった人もいるかもしれません。

これは、太平洋プレートの北米プレート・ユーラシアプレートへの沈み込みによる地震を説明したもので、東北地方をはさんで西に日本海、東に太平洋という構図の中でいえることです。よって、これを根拠にイを選ぶと誤りとなります。

「地震の基礎知識」(防災科学技術研究所HPより)

この問題について、赤本やYouTubeの解説を見てみると「地震の点の数のちがい」から、エを正解としているものが多いようです。「図3から見ても北よりも南側の方が地震が多いから、右側に地震の多いエが正解だ」という説明です。

しかし、エの図の左側と右側を比べても、左の方が点が浅いところに密集しているように見えるぶん、「右の方が数が多い」とはいえません。

震源の数ではなく「震源の深さ」もしくは「特徴的な分布」を考えなければ正解にたどり着けないと、賢明な受験生は考えるでしょう。

「防災科学技術研究所」のデータを見に行ってみましょう。

三次元震源分布表示2017-2021(国立研究開発法人 防災科学技術研究所HPより)

日本列島の地下にある震源を立体的に回転させながら観察することができます。

この立体図を上方から見ると、福井県-滋賀県-三重県を結ぶライン上で、震源の深い地震が起きていることが分かります(緑~青が深い震源)。

また、この立体図を西から東方向(Wの方向)に見てみると、エの図と同じような右上から左下に下がるような震源の分布がみられます。これはフィリピン海プレートの南から北への沈み込みを反映しているといえるでしょう。

西宮の家庭教師 かきた
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ただし「フィリピン海プレートの沈み込み」を根拠にエを正解とするならば、今度は「アの図との明確な差は何か」という疑問が出てきます。

「太平洋プレートの影響のほうが大きいのだから、はっきり沈み込みがあらわれているアのほうが太平洋プレートを横から見たものだ」と考えることもできますが、根拠として少し弱い気がします。

その南側にある深い震源の分布にも注目します。

三重県東沖~愛知県南沖、地下200~400㎞あたりの深いところにあり、これがエの図と一致するので、が正解ということになります。

西宮の家庭教師 かきた
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もちろん、このような震源分布は教科書には載っていませんし、ほとんどの受験生は知らないでしょう。私も調べて初めて知りました。

「東南海地震と関連させて考えると本州の南側に深い地震が多いといえる」と解説している先生もいらっしゃいますが、東南海地震の震源は深いといってもせいぜい数十㎞と想定されており、深さ200㎞超の地震との関連は考えにくいでしょう。

 

興味深い記事を見つけました。ウェザーニュースの『(2022年11月14日)三重県南東沖の深発地震で異常震域、南海トラフ地震とは別要因』というものです。

三重県南東沖の深発地震で異常震域 南海トラフ地震とは別要因 – ウェザーニュース (weathernews.jp)

top

三重県の南東沖、震源の深さ約350㎞というのは、エの図の南側の深い震源群と一致します。そして、注目すべきはその震域です。「この地震では、震央に近い東海地方ではあまり揺れず、少し離れた関東や東北南部で震度4〜3の揺れが観測された」とあります。

なぜこのような不思議な揺れ方をするのでしょうか。この地震は非常に深い所で発生する「深発地震」と呼ばれるものです。以下引用です。

多くの地震では震央から同心円状に揺れの強い地域が分布しますが、深発地震では沈み込んだプレートに沿って強い揺れが伝わり、プレート境界に近い遠方で揺れが大きくなる現象がみられることがあり、これを「異常震域」といいます。震央の近傍では揺れが小さくても、遠方に強い揺れが伝わることがあるため注意が必要です。今回の地震では地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿って、北日本や東日本の太平洋沿岸に揺れが伝播したものと考えられます。 (中略)三重県南東沖から東海道南方沖、鳥島近海などでは同様の深発地震が発生することがしばしばあり、数年に一度M6以上の規模の地震も発生します。

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「なるほど、そんなことがあるのか」と思うと同時に、このあたりの深発地震は太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込んで起きた地震であるということも確認できました。

だとすると、同じように太平洋プレートが沈み込んでいるはずの東北地方付近で深い場所に震源がないのはなぜなのか?という疑問に立ち返ります。

そもそも何かしらの原因で地震が少ないなのか。もしくは、東北付近の太平洋プレート上で深発地震が起きたとしても、上記の異常震域のメカニズムで揺れが伝わる先が海底となり、観測記録に残らないからではないか?と思っています。

どうでしょうか。詳しい方、教えてください。

 

以上のように、いろいろと考えをめぐらせるには面白いテーマですが…中学理科の範囲を逸脱している点、論理的な思考で正解にたどり着けない点で、試験問題としてはあまり良い問題とは言えないでしょう。

 

Ⅲ-1 燃料電池

兵庫県公立高校入試解説 2022年度 理科Ⅲ-1

(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)

西宮の家庭教師 かきた
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化学分野の燃料電池に関する問題です。燃料電池がどんどん一般的なものになっていますので、中学理科でもテーマとして取り上げられるようになりましたね。

1(1)難易度:★☆☆☆☆

ア → 青色リトマス紙を赤色に変えるのは酸性の水溶液です。×
イ → マグネシウムリボンを入れて水素が発生するのは塩酸などの酸性の水溶液です。アルミニウムであれば水素が発生します。×
ウ → フェノールフタレイン溶液を赤色に変えるのは、アルカリ性の水溶液の特徴ですね。〇
エ → アルカリ性の水溶液のpHの値は7よりも大きくなります。×

よって、答えは

1(2)難易度:★☆☆☆☆

電気分解によって水を水素と酸素に分解する反応は、電気エネルギーを化学エネルギーに変換しているといえます。

電気分解装置が電池としてはたらいているとき、電極Xがオルゴールの⊖側とつながり、電極Yが⊕側とつながっていることから、この電池の-極は電極Y、+極は電極Xとなります。よって、電子の流れは、

 電極Y → 電子オルゴール → 電極X

という順番となります。

燃料電池における電子の流れ

また、電池の-極は電極Yですので、ここでは水素から電子が発生する反応が起きています。 

 電極Y:H₂ → 2H⁺ + 2e⁻

よって、①:電極Y、②:電極X、③:水素となり、が正解となります。

(3)難易度:★★☆☆☆

水の状態よりも水素と酸素に分解された状態の方がエネルギーが大きく、これを化学エネルギーといいます。逆に、水素と酸素を水に戻すとき、問題のような装置(燃料電池)を使えば電気エネルギーを取り出せます。

なお、水素と酸素を混ぜで点火すると燃焼がおこって水が発生し、化学エネルギーが熱エネルギーと光エネルギーに変換されます。

よって、①:化学、②:電気で、③:燃料でが正解となります。

(4)難易度:★★☆☆☆

燃料電池では、水素と酸素から水ができる反応で、電池全体で見ると以下のような反応となります。

 2H₂ + O₂ → 2H₂O

よって、反応した気体(水素と酸素の和)の体積と生じる水の質量は比例します。

表から反応した気体の体積の和を求めると、以下の表のようになります。

装置A装置B装置C装置D
水素の体積(㎤)[A]
酸素の体積(㎤)[B]
残った気体の体積(㎤)[C]
反応した気体の体積の和(㎤)
[A]+[B]-[C]
オルゴールが鳴っていた時間(分)10202020

この反応がすすんだ分だけ電気エネルギーが取り出せますので、オルゴールが鳴っていた時間とも比例していますね。

よって生じる水の質量比は、A:B:C:D=3:6:6:6=1:2:2:2

となり、が正解となります。

Ⅲ-2 地震

兵庫県公立高校入試解説 2022年度 理科Ⅲ-2

(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)

2(1)難易度:★☆☆☆☆

バリウムは以下のように電離します。

 Ba → Ba²⁺ + 2e⁻

よって、正解は

2(2)難易度:★☆☆☆☆

BTB溶液は酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色になります。

まず、うすい水酸化バリウム水溶液はアルカリ性なので、BTB溶液を加えると青色になります。よって、

また、表2よりうすい水酸化バリウム水溶液20㎤とちょうど中和するうすい硫酸の体積は、30㎤と40㎤の間であることが分かります。よって、うすい硫酸を50㎤加えた水溶液は、硫酸があまっているので酸性です。よって、

(3)難易度:★★☆☆☆

水はほとんど電流を通しませんが、塩化ナトリウムなど水の中で電離する物質(電解質)の水溶液は電流を通します。

水酸化バリウムと硫酸の中和によってできる硫酸バリウム(白い沈殿)は、イオンからできていますがほとんど水に溶けません。よって、水酸化バリウム水溶液と硫酸がちょうど中和した液は 電流を通すことができません。

一方、水酸化バリウムがあまっていたり、硫酸があまっている溶液は電流を通すことができ、濃さが濃いほどよく電流を通します。

よって、硫酸の量を増やして中和が進むほど流れる電流が小さくなり、ちょうど中和する30㎤と40㎤の間で電流はほぼゼロとなり、さらに硫酸を加えていくと流れる電流は大きくなります。

これを満たすグラフは、

(4)難易度:★☆☆

ビーカーAのろ液とビーカーEのろ液を混ぜて、さらにろ液を取り出したものとうすい水酸化バリウム水溶液40㎤ とうすい硫酸60㎤を混ぜてろ液(A+E)を取り出したものは同じです。

うすい水酸化バリウム水溶液の体積(㎤)うすい硫酸の体積(㎤)
ビーカーA2010
ビーカーE2050
A+E4060

表2よりうすい水酸化バリウム水溶液20㎤とちょうど中和するうすい硫酸の体積は、30㎤と40㎤の間ですので、

うすい水酸化バリウム水溶液40㎤とちょうど中和するうすい硫酸の体積は、60㎤と80㎤の間となりますね。A+Eは中和するには硫酸が足りない状態です。

つまり、このA+Eのろ液は、あまった水酸化バリウムの水溶液です。この水酸化バリウムはもちろん電離しています。

 Ba(OH)₂ → Ba²⁺ + 2OH⁻

よって水溶液中にある陽イオンと陰イオンの個数の比は1(個):2(個)となり、陰イオンの割合を百分率で表すと、

  \frac{2}{1+2} × 100 = 66.6… ≒ 67(%)

西宮の家庭教師 かきた
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「反応前のうすい硫酸10㎤には水素イオンが100個、50㎤には水素イオンが500個、うすい水酸化バリウム水溶液20㎤にはバリウムイオンが200個存在するものとする」という注釈があります。これだと、うすい水酸化バリウム20㎤とうすい硫酸40㎤がちょうど反応する計算になり、表2のデータと整合性が取れず微妙ですね。これで混乱した受験生もいるでしょう。

ただ、こちらの数字を使って計算しても、
最終的にBa²⁺100個、OH⁻が200個余る計算となるので答えは同じです。

この年の理科は、受験生を無為に惑わせる悪問が多いですね。コロナ禍でチェックが手薄だったのかもしれません。

 

Ⅳ-1 電気とエネルギー

兵庫県公立高校入試解説 2022年度 理科Ⅳ-1

(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)

西宮の家庭教師 かきた
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物理分野の電気とエネルギーに関する問題です。

 

1(1)難易度:★★☆☆☆

 「コイルに①が流れると磁界が変化する」とあります。

直流電流が流れた場合、磁界が「発生」はしますが、変化はしません。

交流電流とは電流の方向が一定の間隔で入れ替わる電流で、コイルに交流電流を流すと、磁界の「変化」が起こります。

磁界を変化させると、金属製の鍋の底に誘導電流が流れ、鍋の底の金属の抵抗によって鍋の底で熱が発生します。

よって、答えは

1(2)① 難易度:★☆☆☆☆

家庭のコンセントはすべて並列に接続されていますし、テーブルタップもすべて並列です。

よって、

(2)② 難易度:★★☆☆☆

各電気器具の消費電力をアンペア数で表すとき、ワット数を電圧でわればよいので下表の通りとなります。

電気器具消費電力の表示消費電力(アンペア数)
電気カーペット100V-400W4A
そうじ機100V-600W 6A
ノートパソコン100V-80W 0.8A
ヘアドライヤー100V-1200W 12A

これらを同時に使用するとき、アンペア数の合計が15Aを超えなければよいということです。

2個の器具の組合せは(電、そ)、(電、ノ)(そ、ノ)(ノ、ヘ)の4通り。

3個の組合せは(電、そ、ノ)の1通り。

4個は×。

以上、5通り

(3)難易度:★★☆☆☆

電気器具ワット数1日の使用時間1日の使用電力量
電気カーペット400W4時間1600Wh
そうじ機600W 30分300Wh
ノートパソコン80W 2時間160Wh
ヘアドライヤー1200W 20分400Wh
合計2460Wh

ここから10%以上節電しますので、246Wh以上節電する必要があります。

電気カーペットのワット数を400Wから360Wに減らすと、その節電効果は40×4=160Whです。

よって、そうじ機で86Wh以上節電する必要があり、そうじ機は1日30分(0.5時間)の使用ですので、ワット数を、

 86(Wh)÷ 0.5(h)= 172(W)

だけ減らせばよいことになります。よって、取り換えることができるそうじ機の最大の消費電力は、

 600-172=428(W)

よって、

 

Ⅳ-2 力と運動

兵庫県公立高校入試解説 2022年度 理科Ⅲ-2

(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)

2(1)難易度:★☆☆☆☆

選択肢を1つ1つ吟味していきましょう。

 ア:斜面の上にある物体にはたらく重力と垂直抗力の大きさは等しくはなりません。×

 イ:斜面ABでは、小球に運動の向きに力がはたらきますが、、その力の大きさは一定です。

 ウ:水平面の上のある物体にはたらく重力と垂直抗力の大きさは等しくなります。〇

 エ:水平面の小球には、運動の向きとは逆の方向にまさつ力がはたらき続けます(注)。×

ただし(2)でも説明している通り、この問題ではレール上でのまさつ力は無視されています。

よって、

2(2)難易度:★☆☆☆☆

表2[実験1]を見て、0.1秒間に移動した距離を表の下に書き込んでいきます。

6-7区間と7~8区間の移動距離が等しいことから、等速直線運動となっており、水平なレールのまさつ力は無視できると判断できます。5-6区間で加速が終わっていることから、ここでBを通過していることが分かります。よって、

表3[実験2]でも、0.1秒間の移動距離を書き込んでいきます。

すると、水平面での速さは[実験2]の方が小さい(遅い)ため、[実験2]の方が最初の高さは低い、すなわち[実験1]の最初の高さは20㎝よりも高いことかが分かります。よって、

(3)難易度:★★☆☆☆

[実験2]と[実験3]は最初の高さが同じなので、水平面での速度は等しくなります。ただし、実験3の方が水平面までの距離が長いので、速さが変わらなくなるまでの時間が長くなります。

これらを反映しているのは、

(4)難易度:★☆☆

まず、水平面を転がりCに着くまでにかかる時間は、

 60 ÷ \frac{19.8}{0.1}\frac{10}{33}

次に斜面を転がる時間を計算します。

[距離]=[速さ]×[時間]

の関係があることはもちろん知っていますよね。ただし、これは速さが一定である前提での話です。

斜面を転がるような速度が変わる運動の場合、移動した[距離]は縦に速さ、横に時間をとったグラフの下の「面積」としてあらわされます。

距離はグラフの下の「面積」としてあらわされる。

上図において、黄色い三角形が「斜面を転がった距離」、青い四角形が「Cまでの水平面を転がった距離」を表しているとすると、

 (黄色い三角形の面積)=(青い四角形の面積)=60㎝

となります。よって、黄色い三角形の底辺の長さ(=斜面を転がる時間)は青い四角形の横の長さ(=水平面を転がる時間)の2倍となります。

よって、

(小球が動き出してから点Cを通過するまでの時間)

=(斜面を転がる時間)+(水平面を転がる時間)

=(水平面を転がる時間)×2+(水平面を転がる時間)

=(水平面を転がる時間)×3= \frac{10}{11}

= 0.90909…. ≒ 0.91(秒)

 

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