今回は夙川中学校 入試 2021年度第2回 理科の過去問です。
もくじ
1 鏡と光の反射

鏡と光の反射に関する問題です。光の道筋の作図問題など、標準的なレベルの問題が続きます。力試しにもってこいの良い問題と言えるでしょう。
問1 難易度:★☆☆☆☆
① 虫めがねで文字が大きく見えるのは「屈折」によるものです。
② 顕微鏡で上下左右が反転して見えるのは、レンズによる「屈折」に関連します。
③月が光って見えるのは、太陽の光を「反射」しているからですね。
④ 水入りコップの中のストローが曲がって見えるのは「屈折」によります。
問2 難易度:★☆☆☆☆
問題文にもはっきり「入射角と反射角は等しくなることが分かっています」と書いてありますから、(ア)は45°です。
また、図2の状態から図3のように鏡を30°かたむけると、入射角が30°大きくなります。よって(イ)の反射角は75°となります。
図4のように鏡aに入射角60°で入った光は鏡bに入射角30°で入ります。よって、(ウ)の反射角は30°です。
問3 難易度:★★★☆☆
下図のように、光が鏡aにあたる点をP、鏡bにあたる点をQとすると、∠O=90°の三角形OPQができます。また、∠QPO=30°なので、∠PQO=60°となります。

点Oを中心に鏡bを回転させると点Qが動くので、動いたあとの点QをQ’とします。鏡bの反射角を60°にするためには、鏡bへの入射角も60°にしなければなりません。このとき、∠PQ’Oは30°になります。

三角形の内角の和が180°なので、∠Oを120°にすればよいことになります。
よって、鏡bを時計回りに30°傾ければよいことになります。
問4 難易度:★★☆☆☆
▲から点Aを鏡ごしに見ると、鏡の向こう側の点A’の位置に見えます。これは鏡面に関してAと線対称な位置にある点です。よって、▲と点A’を直線でつなぎ、鏡面にあたったところから点Aに向かって折り返した線が、光の進む道筋です。
このように作図すると、自然に入射角=反射角となる光の道筋を描くことができます。

問5 難易度:★★★☆☆
この問題のように「鏡ごしに見える範囲」を考えるときには「鏡の両端で反射されて観測者に届く光」の道筋を考えると良いです。

上図の黄色い部分が鏡ごしに見ることのできる範囲となります。よって、鏡に映った像が見えないのはBとなります。
2 化学反応とグラフ

水酸化ナトリウム水よう液と塩酸の反応に関する問題です。基本問題ばかりでひねったところもありません。普通に対策をしていれば全問正解できると思います。
問1 難易度:★☆☆☆☆
BTB液は酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色に変化します。
リトマス紙ではアルカリ性で青色なので、混同しないよう注意しましょう。
問2 難易度:★☆☆☆☆
酸性のものは酸っぱく、アルカリ性のものは苦いという特徴があります。ただし、危険なものもたくさんあるのでむやみに口の中に入れないようにしましょう。
①食酢は酸性、②食塩水は中性、③炭酸水は酸性、➃アンモニア水はアルカリ性となります。
問3 難易度:★☆☆☆☆
【実験1】では、うすい塩酸を40㎤加えたところで水よう液の色が変わり、50㎤加えたとこ ろでさらに色が変わっているので、40㎤加えたところで中世になっており、青色から緑色に変わっていることが分かります。
水酸化ナトリウム水よう液100㎤を半分の50㎤に減らしているので、中性にするのに必要なうすい塩酸の体積は20㎤となります。
問4 難易度:★☆☆☆☆
問3より、水酸化ナトリウム水よう液50㎤にうすい塩酸20㎤加えた時点で中性になっているので、40㎤(さらに20㎤)加えると酸性になりますね。よって、BTB液の色は黄色になります。
問5 難易度:★★☆☆☆
【実験2】(図1)より、塩酸を加えずに 水酸化ナトリウム水よう液100㎤を蒸発させると、0.4gの固体(水酸化ナトリウム)が残ります。
よって、水酸化ナトリウム水よう液100㎤に溶けている水酸化ナトリウムの重さは、②0.40gです。
問6 難易度:★★☆☆☆
【実験2】(図1)より、塩酸を40㎤を加えると、ちょうど中和することが分かります。それ以上塩酸を加えても塩酸に溶けている塩化水素は気体なので、蒸発させると残りません。
よって、水酸化ナトリウム水よう液100㎤とうすい塩酸40㎤をまぜた水よう液の水をすべて蒸発させたときに残るのは、②食塩のみです。
3 消化酵素のはたらき

「中華丼のあんに唾液をくわえてとろみをなくす」というエキセントリックな実験を味わえるたのしい問題です。ただ消化酵素のはたらきと温度の関係を実験から読み解くという、意外と解きがいのある問題になっています。
問1、2 難易度:★☆☆☆☆

唾液にはアミラーゼという、デンプンを分解しマルトース(麦芽糖)に変える酵素が含まれています。
マルトースをさらにグルコース(ブドウ糖)に分解するのはマルターゼという酵素ですが、唾液にもわずかに含まれています。
問3 難易度:★★☆☆☆
でんぷんが含まれていることを調べる方法として、ヨウ素液を加えて色の変化を見る方法がよく知られています。
【解答】
ヨウ素液を加えて青紫色に変われば、でんぷんが含まれているといえる。
問4 難易度:★☆☆☆☆
スーパーなどで売られている片栗粉は主にジャガイモのでんぷんからつくられています。でんぷんは、植物の光合成というはたらきによりつくられ、植物の体の中にたくわえられます。

人気スイーツのタピオカも、でんぷんを主成分とする「キャッサバ」という種類のイモからつくられます。成分がよく似ているので、おうちで片栗粉をつかって「なんちゃってタピオカ」をつくることもできます。ググってみましょう。
問5 難易度:★☆☆☆☆
【実験2】では、唾液を加えた【実験1】との比較のために水を加えています。水ではとろみは変わらないで、➃「変化しなかった」が正解となります。
問6 難易度:★★☆☆☆
表1から、40℃までは温度を上げるとあんのとろみがなくなるまでの時間が短くなりますが、55℃では時間が長くなっています。
よって、酵素の分解力のピークが40℃付近にある②か③が正解になります。また表1より10℃と55℃で比較した場合、10℃の方が酵素の分解力が小さくなるはずなので、③が正解となります。

ヒトの身体の中ではたらく酵素は、だいたいヒトの体温くらいで、効果を発揮できるようにできています。それよりも温度が低すぎたり高すぎたりするとその働きは弱まってしまうのです。くわしくは高校で学ぶことになります。
4 水の流れのはたらき

水の流れのはたらきに関する問題です。基本の知識しか問われていないので、全問正解を狙いたいところです。
問1 難易度:★☆☆☆☆
流れる水のはたらきは以下の通りです。
「けずる」 → 浸食
「運ぶ」 → 運ぱん
「積もらせる」 →たい積
問2 難易度:★☆☆☆☆
流れる水の量が多いほど「けずる」はたらきは大きくなり、「運ぶ」はたらきも大きくなります。流れる水の速さがおそいほど「積もらせる」はたらきは大きくなります。
問3 難易度:★☆☆☆☆
粒の大きさは、れき>砂>どろです。
問4 難易度:★☆☆☆☆
水に浮かんだ粒子は、粒の大きいものから先に、下に沈んでいく傾向があります。
よって、下かられき、砂、どろと重なっている①が正解となります。
問5 難易度:★★☆☆☆
川岸の近くでは、川の底面との摩擦が大きくなるので、流れが遅くなります。よって、図中で一番流れが速いのは②となります。
問6 難易度:★★☆☆☆
川がカーブしているところでは、内側では流れが遅く、外側では速くなります。流れる水が速いほど「けずる」はたらきが大きくなり、おそいほど「積もらせる」はたらきが大きくなります。
よって、内側には石などが積もり河原ができ、外側は削られてがけのようになります。よって、②が正解となります。
問7 難易度:★★☆☆☆
河口近くの海では、どろ、砂、れきなどが運ばれますが、粒の小さいものほど水の流れに乗ってより遠くへ運ばれます。
よって、ペットボトルでの実験の層のでき方とは少し違って、③のようになります。