西宮の家庭教師ダイアログによる過去問解説。今回は須磨学園中学校の過去問です。
もくじ
1 計算問題
解説は省略します。
2 小問集合
解説は省略します。
3 流水算とダイヤグラム
流水算の問題です。ひねりがほとんどない練習問題レベルです。須磨学園中の入試問題としては、かなり簡単な問題で、合格のためには全問正解が必須でしょう。「のくせり表」や「ダイヤグラム」など流水算や旅人算を解くのに必須のテクニックを練習できる良問です。
(1)難易度:★☆☆☆☆
流水算では、まず「のくせり表」をつくることを考えます。のぼり(の)、くだり(く)、静水時の速さ(せ)、流速(り)についてまとめたものです。
静水時(せ) + 流速(り) = くだり(く)
静水時(せ) - 流速(り) = のぼり(の)
{ くだり(く)+ のぼり(の)}÷ 2 = 静水時(せ)
{ くだり(く)- のぼり(の)}÷ 2 = 流速(り)
の関係があり、「の」「く」「せ」「り」の4つの速さのうち、どれか2つが分かると全部分かるようになっています。
太郎、次郎について「のくせり表」をつくると以下のようになります。
[m/秒] | 太郎 | 次郎 |
のぼり(の) | 1 | 0.5 |
くだり(く) | 2 | 1.5 |
静水時(せ) | 1.5 | 1 |
流速(り) | 0.5 | 0.5 |
「のくせり表」から、太郎はのぼり秒速1m、くだり秒速2mだと分かります。同じ距離を往復すると、かかる時間は速さの逆比となりますから
(のぼりの時間):(くだりの時間)=2:1
太郎はAB間を7分30秒(450秒)で往復しますから、のぼりにかかる時間は、
450 × \frac{2}{2+1} = 300[秒]
よって、AB間の距離は、
1×300=300[m]
これより、太郎と次郎について、のぼり、くだりにかかる時間は以下のように計算できます。
[秒] | 太郎 | 次郎 |
のぼり(の) | 300 | 600 |
くだり(く) | 150 | 200 |
この表を使って、(2)~(4)を解くのに便利なダイヤグラムをかくことができます。
(2)難易度:★☆☆☆☆
【解法1】まずは、ダイヤグラムを使わない方法で解いてみます。
太郎の方が次郎よりも速いので、下図のように太郎君が一度Bに到着して、Aに向かって引き返しているときに2人は出会うことになります。
太郎が下りにかかる時間は150秒なので、太郎がB地点に着いた時点で、次郎は1.5×150=225m進んでいます。このとき、2人の間のきょりは75mです。
そこから太郎は秒速1m、次郎は秒速1.5mで向かい合って進むので、
75÷(1+1.5)=30[秒]
より、太郎がBを出発してから30秒後、すなわちスタート時点から180秒後に2人は初めてすれちがいます。
Aからの距離は次郎がくだりで180秒間で進む距離なので、
1.5×180=270[m]
【解法2】この問題をダイヤグラムを使って解いてみます。
ダイヤグラムでは、相似な三角形を使って解きます。下図の2つの三角形は相似で、底辺が「時間」、高さが「距離」にあたります。
この2つの三角形の相似比は、底辺の比より、
(下の三角形):(上の三角形)=9:1
相似な三角形では、辺だけでなく、高さの比も相似比と等しくなります。よって、高さの比も9:1となり、出会った場所はAB間の300mの距離を9:1に分ける地点です。よって、Aからの距離は、
300 × \frac{9}{9+1} =270[m]
こちらの方が計算量が少なく、簡単ですよね。2回目、3回目に出会う時間も、ダイヤグラムさえかけていれば簡単に求められます。
(3)難易度:★★☆☆☆
2回目に出会う点を頂点とした2つの相似な三角形を考えます。
この2つの三角形の相似比は、底辺の比より、
(下の三角形):(上の三角形)=7:8
なので、Aからの距離は、
300 × \frac{7}{8+7} =140[m]
(4)難易度:★★☆☆☆
同じように、3回目に出会うときを考えます。
この2つの三角形の相似比は、底辺の比より、
(下の三角形):(上の三角形)=1:4
なので、Aからの距離は、
300 × \frac{1}{1+4} =60[m]
(5)難易度:★☆☆☆☆
次郎が休憩なしで2往復するのに1600秒かかります。よって、次郎が途中で□秒休んだとすると、(1600+□)秒で2往復したことになります。ただし、休んだ時間は5分(300秒)を過ぎない範囲なので、0<□≦300です。
つまり次郎君が2往復した時間を休憩込みで考えると、1600<1600+□≦1900となり、1600秒より多く、1900秒以下であるとわかります。
太郎は1往復するのに450秒かかりますから、
1往復 → 450秒
2往復 → 900秒
3往復 → 1350秒
4往復 → 1800秒
5往復 → 2250秒 …
太郎と次郎が同時にA地点に到着したことを考えると、その時太郎君と次郎君がかけた時間はともに1800秒だと分かります。
よって、1600+ □ = 1800
となり、□=200(秒)。つまり、次郎が休んだ時間は3分20秒となります。
4 水そうと水の体積
水そうと水の体積の問題です。(3)は高さの比から相似比、相似比から体積比を求める問題ですね。最近の須磨中入試ではよく出題されるタイプの問題ですので、解いたことがない人は練習しておきましょう。
(1)難易度:★☆☆☆☆
図1で水面がCにあるということは、水の体積は長方形CDEFを底面とする四角柱の体積にあたります。
八角形ABCDEFGHの面積は、1×3+2×1=5cm²
長方形CDEFの面積は、2×1=2cm²
長方形CDEFと八角形ABCDEFGHの面積比は「水の体積」と「Pの容積」の比に等しくなります。さらに、水を入れ面ABCDEFGHを下にしたときの水の高さとAIの比とも等しいから、水の高さは、
AI× \frac{2}{5} =0.4[cm]
(2)難易度:★★☆☆☆
下図のように点CからAHに引いた垂線とAHとの交点をK、水面とAHの交わる点をJとします。
(1)ではCFに水面があったので、(2)で追加した水は底面を四角形CGHJとする四角柱にあたります。四角形CGHJの面積を出すためにKJの長さを出すことを考えます。
まず、△EFGと△CKJが相似であることについて確認してみましょう。
床と水面は平行になることから、EG//CJ
∠E=∠D=90°より、EF//CKなので、∠FEG=∠KCJ
また、∠EFG=∠CKJ=90°なので、2つの角が等しいから、△EFGと△CKJは相似です。
よって、CK:KJ=EF:FG=2:1であり、KJ=CK × \frac{1}{2} =0.5[cm]
よって、台形CGHJを底面とする四角柱の体積は、
(2+1.5)×1÷2×1=1.75[cm³]
なので、これが追加した水の体積にあたります。
(3)難易度:★★☆☆☆
まず、入っている水の体積は、(2)より、
2×1×1+1.75=3.75[cm³]
右図のように、水面でQの四角すいを分けると水の入っていない部分も四角すいとなります。
このとき、Qの四角すいと水の入っていない部分の四角すいは相似で、その相似比は高さの比から3:2です。
そしてその体積比は、
(3×3×3):(2×2×2)=27:8
したがって、Qの容積と入っている水の体積比は、
27:(27ー8)=27:19
Qの容積は、
3.75× \frac{27}{19} = \frac{405}{76}
Qの高さを□cmとすると、
9×□÷3= \frac{405}{76} だから、□= \frac{135}{76}cm
相似は平面図形どうしだけでなく、立体図形どうしでも成り立つ関係です。
相似比がA:Bのとき、
面積比はA×A:B×Bなのに対し、
体積比はA×A×A:B×B×Bとなります。
5 数列の規則性
数列の規則性についての問題です。偶数列と奇数列で異なる規則性をもっているので、いかに条件整理して使いこなせるか、が問われています。数自体はそこまで多くないので、全部書いてやるのも一つの手ではあると思います。
(1)難易度:★☆☆☆☆
図を見れば明らかなように、奇数列では数字は下向きに増えていき、偶数列では上向きに増えていきます。そしてその性質から、同じ列どうしで横に隣り合う2マスの数を足すと同じ数となります。
横に隣り合う数を足して49となるのは4列目と5列目で、左側の数字が一番小さいのは、6行目の19と30の組み合わせです。
(2)難易度:★★☆☆☆
縦1列6マスですから、5の倍数が1列に2個あるとき、その両端つまり横1行目と6行目にあることがわかります。なので、1列目に5の倍数が来るものを選べばいいことになります。
まず奇数列の1行目について見ていくと、
1列目は1、3列目は13、5列目は25、7列目は37、9列目は49…
と12ずつ増えていきます。10列右にずれると60増えます。よって5列目で初めて5の倍数25が現れ、その後は10列ごとに5の倍数が現れます。
よって、40列目までで条件に合うのは、5、15、25,35列目です。
偶数列の1行目について見ていくと、
2列目は12、4列目は24、6列目は36、8列目は48、10列目は60…
と12ずつ増えていきます。10列右にずれると60増えます。よって、10列目で初めて5の倍数60が現れ、その後は10列ごとに5の倍数が現れます。
40列目までに条件に合うのは、10、20、30、40列目。
以上より、5の倍数が1列に2個あるのは、
5、10、15、20、25、30、35、40列目の8列。
(3)難易度:★★☆☆☆
どんなときに7の倍数が横2マスに隣り合うのでしょうか。
7の倍数に7を加えると7の倍数となりますから、上図のように奇数列の3行目、もしくは偶数列の4列目に7の倍数がきたとき、その右隣にも7の倍数が現れることになります。
この条件に合う7の倍数を探してみると、4列目の4行目に21がありますね。
21を起点にして、4行目で7の倍数が隣り合うかのはいつかを調べてみます。2列右にずれるごとに12増えますから、14列右にずれると84増え、7の倍数が再度現れることが分かります。
よって、40列までで考えると、
4列目4行目とその右隣 → 21と28
18列目4行目とその右隣 → 105と112
32列目4行目とその右隣 → 189と196
の3カ所となります。
奇数列3行目で7の倍数を探してみましょう。
1列目3行目 3
3列目3行目 3+12=15
5列目3行目 15+12=27
7列目3行目 27+12=39
9列目3行目 39+12=51
11列目3行目 51+12=63
63を起点にして、先ほどと同様に、14列ずつ右にずらして調べてみましょう。
40列までで考えると、
11列目3行目とその右隣 → 63と70
25列目3行目とその右隣 → 147と154
39列目3行目とその右隣 → 231と238
以上の6か所となります。
(4)難易度:★☆☆☆☆
1から240までの数の中で、5の倍数または7の倍数が何個あるかを数えればよいことになります。
5の倍数:240÷5=48
7の倍数:240÷7=34あまり2
35の倍数:240÷35=6あまり30
48+34-6=76(個)
(5)難易度:★★★☆☆
縦1列6マスですから、7の倍数が1列に2つ以上並ぶことはできません。(2)より、5の倍数が1列に2つある列があるのは分かっていて、それらはすべて1行目と6行目です。
よって、黒く塗りつぶしたマス目が縦1列に3個ある列を探すには、2~5行目に7の倍数のある列のうち、(2)の条件を満たす列を探せばよいことになります。
1から14列までで、2~5行目に7の倍数があるのは、上図の通り3~6列目と10~13列目。
15列目以降は、上と同じ間隔で7の倍数が現れますので、40列目までで考えると、
3~6、10~13、17~20、24~27、31~34、38~40列目
この中で(2)の条件を満たすのは、5、10、20、25、40列目の5列。