【須磨学園中学過去問解説】2022年度 理科 第2回

西宮の家庭教師ダイアログによる過去問解説。今回は須磨学園中学校の過去問です。

1 つがいの作り方

西宮の家庭教師 かきた
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「オスとメスのつがいの作り方」についての問題です。問5のグラフを読み取る問題は少し難しめ。それ以外は基本的な知識をもっていれば解けるでしょう。

問1 難易度:★☆☆☆☆

カブトムシはツノがある方がオス、ライオンはたてがみがある方がオス、ニワトリではより大きいトサカをもっているのがオスです。

問2 難易度:★★☆☆☆

卵でなく親と似た姿で生まれてくるのは基本的には「ほ乳類」で、選択肢のうち、ほ乳類は②クジラ、⑤キリン、⑥ヒト、⑦カモノハシです。

ただし、カモノハシはほ乳類でありながら卵を産むという珍しい種なので、答えには入りません。よって、②、⑤、⑥が正解です。

問3 難易度:★☆☆☆☆

精子がつくられる場所のことを精巣といいます。

問4 難易度:★★☆☆☆

本文をふまえると、タマシギはオスがメスを慎重に選ぶので、多くの動物と比べ立場が逆です。よって、派手に目立つ格好をしたり、鳴き声で異性にアピールをするのがオスではなくメスであると推測できます。

よって、が正解となります。

問5 難易度:★★★☆☆

まず、前提として、本文にある通り、メスはからだのサイズが大きいほど子を残せる可能性が高まります。メスの点線グラフがA、B、Cいずれも右上がりになっているのはそれを反映しています。

また、条件として「メスが子を残せる可能性はつがいの作り方には関係しない」とありますから、オスのグラフの形に注目することになります。

ただし、この問題はグラフから選択肢を選ぼうとすると、非常に分かりにくいです。選択肢ようなパートナーの作り方をする魚はどんなグラフになるかという方向で考える必要があります。選択肢の文章を吟味してみましょう。

①「大きなメスはたくさんのオスとつがいを作り…」については、「メスが子を残せる可能性はつがいの作り方には関係しないの」という条件に反します。よって、これに合うグラフはないはずです。

②「大きなオスはたくさんのメスとつがいを作り、小さなオスは作れない」とすると、大きなオスほど子を残せる可能性が高まり、小さいオスは子を残す機会を奪われるので、グラフは右上がりとなり、BかCになるはずです。

③「大きさに関係なく、オスとメスが自由につがいを作る」とすると、オスのからだのサイズによって子を残せる可能性に差は生まれないはずです。よって、子を残せる可能性が一定であるAのグラフがこれにあたります。

④「大きさが同じくらいのオスとメスがつがいをつくる」と、同じくらいサイズのオスとメスで子を残せる可能性が同じくらいになるはずです。よって、オスとメスのグラフの形が一致しているCがこれに当たります。

よって、消去法で②にあたるグラフはBです。

よって、A→③、B→②、C→④となります。

問6 難易度:★★☆☆☆

本文より、「すべてオスとして生まれてきて、成長するとまわりの個体の大きさと自分の大きさを見比べて、より大きなオスはメスへと性転かんします」とありますから、重要なのは相手の大きさで、それがオスかメスかは関係ないようです。よって、

【条件1】オスをより小さいメスと一緒に飼育すると、メスになります

【条件2】オスをより大きなメスと一緒に飼育すると、オスのままです

 

2 アルコールのこさと密度

西宮の家庭教師 かきた
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「アルコールのこさと密度」についての問題です。表や文章から実験結果を読み取り考察する練習がしっかりできていれば、そんなに難しい問題ではないはずです。

問1 難易度:★☆☆☆☆

本文より、アルコール度数70%の消毒用アルコール中100㎤中に70㎤の割合でエタノールが混ざっているということです。このことから、アルコール度数とは、ある溶液の体積に対し、そこに含まれる(つくるのに必要な)純粋なアルコールの体積を百分率であらわしたものといえます。

よって、アルコール度数7%のお酒50㎤に含まれるアルコールの体積は、

 50× \frac{7}{100}3.5[㎤]

問2 難易度:★☆☆☆☆

ひとつひとつ見ていきましょう。

① 空気を冷却して液体にし、すこしずつ温度を上げると、沸点の低いちっ素が先に蒸発し、その後酸素が蒸発します。沸点の差を利用しているので、これは蒸留です。

② 「ろ過」と書いてありますので、違いますね。

③ 硝酸カリウムと塩化ナトリウムが溶けた水よう液を冷やして分ける方法は、溶解度の変わり方の差を利用しています。蒸留とは関係ないですね。

④ 石油に含まれている灯油や重油を別々に分ける方法は、沸点の差を利用しており、蒸留です。

よって、①と④が正解です。

問3 難易度:★☆☆☆☆

液体を加熱するときに入れる物質といえば、ふっとう石ですね。これは突然ふっとうすることを防ぐために加えます。

問4 難易度:★★☆☆☆

試験管③に集まった液体が100%エタノールなので、この液体の密度を求めればよいことになります。よって、

 4.68÷6=0.78[g/㎤]

問5 難易度:★★★☆☆

試験管⑤に入った液体は、水とエタノールが混ざったものです。

水とエタノールの体積があわせて4㎤であり、その重さが3.692gなので、それぞれの密度(水:1g/㎤、エタノール:0.78g/㎤)をもちいたつるかめ算を解けば、それぞれの体積が分かりますね。

もし、4㎤すべてが水だと仮定すると、その重さは4gとなります。実際の重さは3.692gで0.308g軽いことになります。

ここで、液体の一部を水からエタノールにおきかえると、1㎤あたり0.22g軽くなるので、0.308g軽くするには、

 0.308÷0.22=1.4[㎤]

だけエタノールに置き換えればよいことが分かります。

よって、試験管③に含まれるエタノールは1.4㎤

問6 難易度:★★☆☆☆

問5のように考えると、水とエタノールが混ざったものは、水の割合が多いほど密度が大きくなり、エタノールの割合が多いほど密度が小さくなることが分かります。

ここで、アルコール度数50%のエタノールの密度は、

 1× \frac{50}{100} + 0.78× \frac{50}{100} =0.89[g/㎤]

よって、はっきり火がついてい ると判断できるアルコール度数は50%以上、すなわち密度が0.89g/㎤以下ということです。

下表のように、試験管③~⑦に入った液体の密度を求めると、下表のようになり、③と④を選べばよいことが分かります。

試験管③試験管④試験管⑤試験管⑥試験管⑦
液体の体積(㎤) 3.63.2
液体の重さ(g) 4.684.33.6923.4083.2
密度(g/㎤)0.780.860.9230.947

問7 難易度:★★★☆☆

実験中、フラスコ内は空気が追い出され、水蒸気で満たされています。火を止めると、フラスコ内の水蒸気が冷やされて水となり、体積が小さくなります。もし、ガラス管の先端を液体の中につけたままにしてしまうと、フラスコ内に液体が逆流し、ガラスが急激に冷やされ割れる危険性があります

問8 難易度:★★☆☆☆

サトウキビやトウモロコシなどの植物原料(バイオマス)から取り出されるエタノールをバイオエタノールといいます。

西宮の家庭教師 かきた
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バイオエタノールを燃やすと、ガソリンと同様にCO₂が発生しますが、これは植物が成長中に吸収したCO₂の再放出なので、温室効果ガスではないとされています。未来の燃料として期待されていますね。

 

3 光の屈折

西宮の家庭教師 かきた
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「光の屈折」についての問題です。光の屈折は光の速さ(進みやすさ)の差によっておこるという発展的な内容です。本文中にしっかりと解説されているので、それを読み解く力を問う問題といえるでしょう。

問1 難易度:★★☆☆☆

選択肢を吟味していきましょう。

① 虫めがねで太陽の光を集めることができるのはレンズにより光が屈折するからです。

② シャボン玉が色づいて見えるのは「光の干渉」という現象が関係しています。

③ 空気と海水の温度差が大きいとき対岸の景色が歪んで見える現象を「蜃気楼(しんきろう)」といい、光の屈折がかかわっています。

西宮の家庭教師 かきた
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蜃気楼(しんきろう)は、空気の層の温度差によって密度の差が生まれることで光が屈折し、地上や水上の物体が浮き上がって見えたり、逆さまに見えたりする現象です。日本では富山湾などが有名です。

④ 青緑・赤紫・黄の絵具を混ぜると、黒っぽい色になるのは、混ぜた絵の具がいろいろな光を吸収するようになり、その結果黒っぽく見えるのです。屈折は関係ありません。

⑤ 晴れた日の空が青く見えるのは、空気中にまうチリが青い光を強く散乱させるからです。屈折は関係ありません。

以上より、①と③が正解となります。

西宮の家庭教師 かきた
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厳密にいうと、シャボン玉で「光の干渉」が起こるときにも光の屈折がかかわっています。このメカニズムを説明しようとすると、かなりのスペースが必要なので、気になる人は調べてみましょう。

問2 難易度:★★☆☆☆

本文に「水中で光が進む速さは、空気中で光が進む速さの \frac{3}{4} 倍になります。これは、 (図2)中の \frac{CDの長さ}{ABの長さ} の値と対応している」とあります。

また、(表1)より、物質1を空気、物質2をガラスとしたときの \frac{CDの長さ}{ABの長さ} の値は \frac{2}{3} ですから、ガラス中で光が進む速さは、空気中で光が進む速さの \frac{2}{3} 倍になります。

問3 難易度:★★☆☆☆

下図の通り、シールを出発した光は屈折して目まで届きます。ここで、観察している目や脳は屈折していることを想定せず「まっすぐ来た光」として認識するので、シールは本当の位置(水がないときに見える位置)よりも上に見えます。

水と光の屈折

問4 難易度:★★☆☆☆

図4において、下図のように物体のあるEの真上にある水面上の点をIとし、点Eから直線BOに下した垂線の足をJとします。また、直線AOの延長とIEの交点をE’とします。

問3で確認したように、Aから見て物体はE’にあるように見えます。ここから水を抜くと、物体は本当の位置であるEまで動くように見えますね。よって、動く方向は下です。

あとは動いた距離ですが、上図のE’Eの距離を求めればよいことになります。ここからは算数ですね。

まず、△ABOと△OIE’は相似でなので、

 IE’=BO× \frac{AB}{OI} =3× \frac{5}{4}\frac{15}{4}

また、△ABOと△OJEも相似でなので 、

 OJ=AB× \frac{BO}{JE} =4× \frac{5}{3}\frac{20}{3}

 EE’=IE-IE’=OJ-IE’= \frac{20}{3}\frac{15}{4}\frac{35}{12}
   =2.9167…≒2.92[cm]

問5 難易度:★★★☆☆

油中で光が進む速さを空気中で光が進む速さのX倍だとしましょう。\frac{CDの長さ}{ABの長さ} =Xですから、

 EF=CD=AB×X=4×X

また、図5のように油から水へ光が進むとき、(表1)より、\frac{GHの長さ}{EFの長さ}\frac{9}{8} なので、

 EF:GH=(4×X):3=8:9

 X=(3×8÷9)÷4= \frac{2}{3}≒0.67

よって、油中で光が進む速さは空気中で光が進む速さの0.67倍です。

問6 難易度:★★☆☆☆

問5から、ガラスと油の中を光が進む速さはともに空気中の \frac{2}{3} 倍です。ガラスも水も透明なのに空気中で目に見えるのは、空気とは光が進む速さが異なり、屈折が起こるからです。逆に言えば、屈折が起こらなければ、そこに物体があっても見えないということが起こります。

ガラスと油とでは光が進む速さが等しく、屈折が起こらないから。(30字)

 

4 前線と線状降水帯

西宮の家庭教師 かきた
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「前線と線状降水帯」についての問題です。閉塞前線や線状降水帯などの専門用語が出てきて難易度は高めです。

問1 難易度:★★☆☆☆

梅雨の原因となる気団は、北はオホーツク海気団、南は小笠原気団です。

オホーツク海気団は北の海上にありますから、冷たく湿っています。

小笠原気団は南の海上にありますから、暖かく湿っています。

湿った気団どうしがぶつかるので、雨がたくさん降るんですね。

問2 難易度:★★★☆☆

図2は閉塞前線のでき方を説明したものですね。

北から寒気団、南から暖気団がぶつかると、温暖前線と寒冷前線を形成します。この二つの前線は、地球の自転の影響を受けることにより、図2-2のように反時計回りに回転します。

このとき、寒冷前線の方が温暖前線よりも回転するスピードが速いため、図2-3のように寒冷前線が温暖前線に追いつきます。この2つの前線が重なると、それを閉塞前線といいます。

よって、aが寒冷前線、bが温暖前線です。

問3 難易度:★★☆☆☆

「このままの状態で」とありますから、閉塞前線になる前のことですね。なので、★の地点を温暖前線→寒冷前線の順番に通過することになります。

温暖前線が通過するときには、弱い雨が長時間降り続きます。寒冷前線が通過するときには強い雨が短時間内に降ります。

よって、④が正解となります。

問4 難易度:★★☆☆☆

寒冷前線では寒気によってもちあげられた暖気が強い上昇気流をつくります。これによって高さのある積乱雲ができ、短時間のうちに局地的に強い雨が降ります。

温暖前線では、暖気が寒気の前線面をかけあがるようにして進むことでゆるやかな上昇気流が発生します。これにより幅広い場所に雲ができ、長い時間雨が降ります。

問5 難易度:★★★☆☆

集中豪雨についての記述です。一つ一つ吟味しましょう。

① 集中豪雨と津波には直接の関係はありません。

② ヒートアイランド現象が原因となり、集中豪雨になることもあります。

③ 液状化現象はゆるい地盤が強い地震のより液体状する現象です。

④ 集中豪雨が起こるとき、雷が鳴ることはありますよね。

よって、正しいのはですね。

問6 難易度:★★☆☆☆

本文より、「積乱雲が上空を吹く風によって流されると、雲ができた場所には雲がなくなり、そこへ暖かく湿った風が引き続き流れ込」んで、「積乱雲の発生と移動が繰り返されることで積乱雲が連な」ることで線状降水帯が発生します。

また、バックビルディング型とは「暖かく湿った風が吹いてくる向きと上空の風の向きが同じとき」の線状降水帯のでき方のことです。

線状降水帯のでき方を説明した図なので、雲が線状に連なっており、かつバックビルディング型なので、その方向は風の方向と一致しているはずです。

よって、正解はです。

問7 難易度:★★★☆☆

問6で確認した通り、バックビルディング型の線状降水帯ができるときには、上空に強い風が吹いています。日本の上空に吹く東西方向の風といえば、「偏西風」ですね。この「偏西風」というキーワードが入っていることが必須となります。

積乱雲が偏西風により流されたから。

 

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