【須磨学園中学校】入試解説 2021年度 算数 第3回 過去問

今回は須磨学園中学校の過去問です。

1 計算問題

解説は省略します。

2 小問集合

解説は省略します。

3 筆算の仕組み

西宮の家庭教師 かきた
西宮の家庭教師 かきた

筆算で入る数字を推測する問題です。この形式の問題が苦手だとしても、最低でも(1)と(3)は確実に解答しておきたいところです。

 

(1) 難易度:★☆☆☆☆

(1けたの数)+(1けたの数)=(2けたの数)となるのは、
6+6=12,7+7=14、
8+8=16、9+9=18の4通りで、いずれの和も十の位は1…(イ)

(ア)に入る数字は上にある通り、6,7,8,9の4通り。

(2)難易度:★★★☆☆

十の位の計算に注目すると、
(エ)+(オ)→(エ)
となっています。
このような(オ)の数字は2通りです。

・(オ)=0 一の位からくりあがり無し
・(オ)=9 一の位からくりあがって+1

入る数字は1~9なので、(オ)=9で確定です。

筆算1

(エ)に順番に数を入れていきます。

まず、(エ)=8のとき、(エオ)+(オエ)=89+98=187

いきなりですが、これで条件に合うので、(エオ)=89

(3)難易度:★☆☆☆☆

(1けたの数)×(1けたの数)で一の位が等しくなるのは
 1×1=1、5×5=25、6×6=36

積は(ケク)と2けたなので、(ク)=5または6

(4)難易度:★★★☆☆

(3)より(サ)に入る可能性があるのは1、5、6。ただし、この条件だけだと(コサ)の候補は24個あります。もう少し絞りたいですね。

まず、(サ)が1だとすると、筆算をやっていくと十の位の計算は
(コ)+(コ)=(コ)
となるはずです。

しかし1~9の中には、そんな数はありません。よって、(サ)は1ではないことになります。

筆算2

(サ)が5だとすると、
 (コサ)×(コサ)
= {(コ)×10+5} × {(コ)×10+5}
=(コ)×(コ)×100+(コ)×10×5+5×(コ)×10+5×5
=(コ)×(コ)×100+(コ)×100+5×5
={(コ)×(コ)+(コ)}×100+25

{(コ)×(コ)+(コ)}×100の下2けたは00、それに25を加えた数です。

よって(シココサ)の下2けたは25となり(コサ)=25となります。
しかし、25×25=625で、条件に合いません。
よって(サ)は5ではありません。

以上より、(サ)=6で確定します

すると(コサ)は偶数だとわかり、(コサ)×(コサ)は(偶数)×(偶数)なので4の倍数だとわかります。

4の倍数の下2けたは4の倍数のなので(コサ)も4の倍数です。一の位が6である4の倍数は、16、36、56、76、96の5個です。これなら全部試せますね。

16×16=256
36×36=1296
56×56=3136
76×76=5776
96×96=9216

条件に合うのは、(コサ)=76

4 回転体の体積と表面積

西宮の家庭教師 かきた
西宮の家庭教師 かきた

回転体の体積と表面積についての問題です。設問はすべて「〇〇は△△の何倍ですか」という問い方をしているので、円周率のかけ算をせずに計算していくのがコツです。ここでは3.14を使っていますが、慣れている人は記号「π(パイ)」を使ってもいいでしょう。

(1) 難易度:★★☆☆☆

直線ℓを中心に回転させると、円柱から円すいをくり抜いたような立体【あ】となり、直線ACを中心に回転させると円すい(立体【い】)になります。

上図のように、立体【あ】でくり抜かれた円すいと立体【い】は同じもので、また、底面の円も合同で高さもすべて同じです。よって、それぞれの体積は、

(立体【あ】の体積)=(底面積)×(高さ)ー(底面積)×(高さ)×\frac{1}{3}
=(底面積)×(高さ)×\frac{2}{3}

(立体【い】の体積)=(底面積)×(高さ)×\frac{1}{3}

よって、
\frac{(立体【あ】の体積)}{(立体【い】の体積)}=2

なので、直線ℓを軸として回転させたときの回転体(立体【あ】)の体積は、辺ACを軸として回転させたときの回転体(立体【い】)の体積の2倍です。

(2)難易度:★★★☆☆

直線mを中心に回転させると、円柱から円すいをくり抜いた立体【う】となります。

上図のように、立体【う】でくり抜かれた円すいの高さは円柱の高さおよび立体【い】の高さの\frac{1}{2}となります。

また、立体【う】の底面の円の半径は立体【い】の\frac{1}{2}となっています。よって、立体【う】の底面積は立体【い】の底面積の\frac{1}{4}となります。

(立体【う】の体積)
=(底面積⓵)×(高さ2⃣)ー(底面積⓵)×(高さ2⃣)×\frac{1}{6}
=(底面積⓵)×(高さ2⃣)×\frac{5}{6}

(立体【い】の体積)=(底面積⓸)×(高さ2⃣)×\frac{1}{3}

よって、
\frac{(立体【う】の体積)}{(立体【い】の体積)}\frac{5}{6}÷\frac{4}{3}\frac{5}{8}

なので、直線mを軸として回転させたときの回転体(立体【う】)の体積は、辺ACを軸として回転させたときの回転体(立体【い】)の体積の\frac{5}{8}倍です。

(3)難易度:★★★☆☆

点Mが辺BCの中点で、直線mは辺ABと平行なので、2つの三角形は相似な直角三角形となり、それぞれの長さは右図のようになります。

こうして分かった長さを、立体【あ】および立体【う】の見取り図に書き込んでいくと下図のようになります。

立体【あ】および立体【う】はどちらも円柱から円すいをくり抜いた立体なので 、その表面積は底面積、側面積、くり抜いた円すいの側面積(つまりおうぎ形の面積)の3つに分けることができます。それぞれ地道に計算していきましょう。

ただし、この問題で問われているのは「何倍か」なので、円周率は最後までかけずにおいておきましょう。

立体【あ】
底面積:6×6×3.14=36×3.14
側面積:6×2×3.14×8=96×3.14
おうぎ形の面積:10×10×3.14×\frac{6}{10}=60×3.14
よって、立体【あ】の表面積は、
(底面積)+(側面積)+(おうぎ形の面積)=192×3.14

立体【う】
底面積:3×3×3.14=9×3.14
側面積:3×2×3.14×8=48×3.14
おうぎ形の面積:5×5×3.14×\frac{3}{5}=15×3.14
よって、立体【う】の表面積は、
(底面積)+(側面積)+(おうぎ形の面積)=72×3.14

よって、
\frac{(立体【う】の表面積)}{(立体【あ】の表面積)}\frac{72}{192}\frac{3}{8}

なので、直線mを軸として回転させたときの回転体(立体【う】)の表面積は、直線ℓを軸として回転させたときの回転体(立体【あ】)の表面積の\frac{3}{8}倍です。

5 変則時計算

西宮の家庭教師 かきた
西宮の家庭教師 かきた

時計を使った問題ですが、普通の時計ではないので、これは「旅人算」として扱います。こういう普通じゃない問題は設定が整理できるかどうかがカギです。
「長針が右回りに2時間で1周」「短針が左回りに12時間で1周」「1から6の目盛りが等間隔にならんでいる」という情報を整理すると以下のようになります。

・長針:右回りに時速180°(分速3°)
    ※ただし、(2)から左回りに変わる
・短針:左回りに時速30°(分速0.5°)
・1目盛り:60°

問題文に書かれた「8時」と「1時間後(9時)」の時計の様子を図に表すと以下の通りです。

(1) 難易度:★★☆☆☆

11時になったとき、8時から3時間たっています。

このとき、長針は180°×3=540°右回りに回転しています。これは180°したのと同じ位置なので、3を指しています。

短針は、30°×3=90°左回りに回転しています。よって、6と1の真ん中を指しています。

図より、長針と短針でできる角のうち小さい方は150°

(2)難易度:★★☆☆☆

(1)より、11時の時点で長針と短針は150°離れています。(2)からどちらも左回りになるので、長針が短針を追いかける形になります。長針は分速3°、短針は分速0.5°なので、1分間に2.5°縮まることになります。

34分間で縮まるのは2.5°×34=85°だから、11時34分において長針と短針でできる角のうち小さい方は150°ー85°=65°

(3)難易度:★★☆☆☆

長針と短針でできる角が150°の状態から90°になるのは、➀ 差を90°まで縮めたときと、② 150°を追いついた後に90°差を開いたとき。

➀(150ー90)÷2.5=60÷2.5=24(分後)

②(150+90)÷2.5=60÷2.5=96(分後)

②は12時を超えているので、①の11時24分。

(4)難易度:★★★★☆

まずは8時から11時までの3時間で直角になる回数を数えます。

最初に直角になるのが8時の何分後かを計算します。
(120ー90)÷(3+0.5)
=30÷3.5
\frac{60}{7}
=8\frac{4}{7}

この後、長針と短針が合計180°進むごとに長針と短針が直角になります。

180÷3.5=\frac{360}{7}

なので、\frac{360}{7}分おきに直角になります。よって、11時までの残り時間で直角になる回数は、

(180-8\frac{4}{7})÷\frac{360}{7}
\frac{1200}{7}÷\frac{360}{7}
\frac{10}{3}
=3\frac{1}{3}

切り捨てて3回。最初の1回も合わせると4回直角になったことになります。そして(3)の11時24分は5回目だとわかります。

11時以降、長針が左回りになってからは直角になる間隔が変化します。つまり、直角の状態から180°差が開くごとに再び直角になります。

180÷(3-0.5)=72

なので、72分おきに直角になるということです。11時24分からあと4回直角になれば良いので、

 11時24分+72分×4
=11時24分+288分
=11時312分
=16時12分

  

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