西宮の家庭教師ダイアログによる過去問解説。今回は須磨学園中学校の過去問です。
もくじ
1 計算問題
解説は省略します。
2 小問集合
解説は省略します。
3 立体図形と水のかさ
立体図形の問題です。この問題は設定を理解し、情報を整理するところまでが重要です。問題文を理解して図に描きこんでいき、「3つのしきり」を立体的にイメージできた人は解答できます。逆にイメージができなければ全問不正解も十分ありえる、合否を分ける危険な問題といえるでしょう。
(●,▲,■)と表された点を4つ結んでできる四角形を書き込んでいき、水そうの中でどんな位置にあるかを把握していきます。すると、下図のような3つのしきりとなります。ただし、しきりCの高さは5以上10未満でまだわかりません。
これを上から見ると、しきりによって(あ)(い)(う)の3つエリアに分かれ、底面積はそれぞれ
(あ)4×4=16㎠
(う)6×6÷2=18㎠
(い)10×10-(16+18)=66㎠
となります。
ここまで整理できていれば、設問自体はそこまで難しくないでしょう。
(1) 難易度:★★★☆☆
(2,2,□) は(あ)の上にあります。
しきりA,Bと水そうの壁で囲まれた立方体の部分の容積は、
16×4=64㎤
56㎤<64㎤なので、(2,2,□)はこの立方体部分の中にあり、水面の高さは56÷16=3.5(cm)
(2)難易度:★★★☆☆
(5,5,□) は(い)の上にあります。(い)に入ってくる水は、しきりA,Bからあふれたものです。あふれた水の量は、
308.2-64=244.2(㎤)
あふれた水が全部(い)に入ったと仮定すると、その高さは
244.2÷66=3.7(cm)
この高さはしきりA,B,Cを越えないので、先ほどの仮定は正しかったことになります。よって、このときの (い)における水面の高さは3.7cmということになります。
(3)難易度:★★★☆☆
(6,9,4)は(う)の上にあります。
つまり、水はしきりCを越え、(う)に入っていったことになります。
(う)に入った水の量は、底面積と高さが分かっているので計算できますね。
18×4=72(㎤ )
よって、(あ)と(い)に入っている水の量は、
769-72=697(㎤)
水が高さ5cm以上のしきりCを越えているということは、高さ4cmのしきりA,Bも越えているので(あ)と(い)の水面の高さは同じです。その高さは、
697÷(16+66)=8.5(cm)
これがしきりCの高さと一致するから、★=8.5cm。
4 数列
数列の問題です。数列は「ルールをみやぶる」ことが大事ですが、分数だとわかりにくいですよね。分数をふくむ数列は分子と分母を分解して見ていくと、ルールが分かることが多いです。
分子→1,1,2,1,2,3,1,2,3,4…
分母→1,2,2,3,3,3,4,4,4,4…
こうやってみると、分子は増えたり減ったりしているので難しそう。でも分母のルールは分かりやすいですね。数字が増えていきますが、1は1つ、2は2つ、という風に数字がその数のぶんだけ続くことが分かります。
ここで「ということは、この数列は最初の1つ、次の2つ、という風にグループに分けて考えるとうまくいくんじゃないかな?」という風に考えます。分子もそのやり方で分けてみましょう。
分子→1,1,2,1,2,3,1,2,3,4…
分母→1,2,2,3,3,3,4,4,4,4…
こうしてみると、分子は1に戻って数を増やすというルールだということが分かります。このように、いくつかのグループに分けるとルールが分かりやすい数列を「群数列」といいます。
群数列は「第〇グループの△番目」で表すことを考えると解ける問題が多いです。この数列は分母が〇、分子が△になることが分かります。では、実際に問題を解いてみましょう。
(1)難易度:★★☆☆☆
群数列の問題では定番ですね。\frac{12}{20}は分子が12、分母が20なので 「第20グループの12番目」だということが分かり、「第19グループの最後までに数字が何個あるか」を計算して、それに12を足せばよいことになります。
グループに含まれる数字の数は1つ、2つと増えていくので、
1+2+3+…+19を計算します。
このような同じ数ずつ増えていく数列の和は
{(最初の数)+(最後の数)} ×(数の個数)÷2で出せます。
だから、(1+19)×19÷2=190
よって、 第19グループの最後までに数字は190個あり、 「第20グループの12番目」 の数は、190+12=202
(2) 難易度:★★★☆☆
これも定番の問題ですが(1)より少しだけ難しいです。503番目を「第〇グループの△番目」で表すことを考えます。
まず、503番目は何グループなのかを考えるのですが、このとき、
1+2+3+…+〇=(503に近い数)
となるような〇をどうにかして探せばよいことになります。
一つずつ足していってもよいでのすが、時間がかかるので、
{(最初の数)+(最後の数)} ×(数の個数)÷2 を使います。
503番目が第〇グループの次のグループに入っているとします。すると、〇グループの最後の番号は503番目よりも小さくなるので、
(1+〇)× 〇 ÷2<503 となります。
ここで(1+〇)× 〇 ÷2が503に近づくように、〇にいろんな数を入れていくのですが、 (1+1)× 1 ÷2 =1、(1+2)× 2 ÷2=3という風に、なかなか503に近づかないので、ざっくり10ずつ増やしてみましょう。
(1+10)× 10 ÷2=55
(1+20)× 20 ÷2=210
(1+30)× 30 ÷2=465 近づいてきたので1ずつ増やします。
(1+31)× 31 ÷2=496 次で503超えそうですね。
(1+32)× 32 ÷2=528 超えました。
つまり、 (1+〇)× 〇 ÷2<503 となる一番大きな〇は31であり、503は第32グループに入ることが分かります。
第31グループの最後までにある数字の個数は496個なので、
503番目は 第32グループの7番目であることが分かり、
その分数は\frac{7}{32}となります。
(3)難易度:★★★★☆
これはやや難しいですね。でも、グループに分けて考えることを徹底すると、意外とすんなりと解けます。
分数の和を求めるとき、分母が等しいと通分しなくていいので簡単ですよね。なので、分母の等しいグループごとに和を出すことを考えます。ただし、第31グループまで一つ一つ和を求めていくのは大変なので、グループの和に規則性はないか、はじめのいくつかのグループ(だいたい4つくらい)で考えてみます。このように、ルールを予想するためにいくつか計算をすることを「実験」といいます。
数列の問題で、やり方が分からないときの鉄則は「実験してみる」です。
(第1グループの和)=\frac{1}{1}= 1
(第2グループの和)=\frac{1}{2}+\frac{2}{2}=\frac{3}{2}
(第3グループの和)=\frac{1}{3}+\frac{2}{3}+\frac{3}{3}=2
(第4グループの和)=\frac{1}{4}+\frac{2}{4}+\frac{3}{4}+\frac{4}{4}=\frac{5}{2}
という風に、グループごとの和が\frac{1}{2}ずつ増えていることが分かります。よって 第31グループ までの和は、
(第1グループの和)+(第2グループの和)+ …+(第31グループの和)
=1+\frac{3}{2}+\frac{4}{2}+…+\frac{32}{2}
=\frac{2+3+4+…+32}{2}
=\frac{(2+32)×31}{2}
となります。
※注意 満点を取るにはおそらく「なぜ\frac{1}{2}ずつ増えるのか」を説明した方が良いと思いますので下の清書に書きます。ただ、実験を書いただけでも大幅な減点はされないと思います。
これに第32グループの1~7番目を足せばよいことになります。
\frac{1}{32}+\frac{2}{32}+…+\frac{7}{32}
=\frac{1+2+3+4+5+6+7}{32 }
=\frac{28}{32}
=\frac{7}{8}
よって、1番目から503番目までの和は、
\frac{527}{2}+\frac{11}{8}
=\frac{2115}{8}
=264\frac{3}{8}
最後に、解答用紙に書く「考え方」を清書します。「グループ」は正式には「群」といいますので、そこも直しておきます。
503番目は第32群の7番目の数なので、第31群までの和と第32群の1~7番目までの和を足せばよい。
第〇群に含まれる分数は、分母が全て〇、分子が1、2、3、…、〇なので、
(第〇群の和)
=\frac{1}{〇}+\frac{2}{〇}+\frac{3}{〇}+…+\frac{〇}{〇}
=\frac{1+2+3+…+〇}{〇}
=\frac{(1+〇)×〇÷2}{〇}
=\frac{1+〇}{2}
よって、
(第1群の和)+(第2群の和)+…+(第31群の和)
=\frac{2}{2}+\frac{3}{2}+…+\frac{32}{2}
=(1+16)×31÷2
=\frac{527}{2}
第32群の1~7番目の和は、
\frac{1}{32}+\frac{2}{32}+…+\frac{7}{32}
=\frac{1+2+3+4+5+6+7}{32}
=\frac{28}{32}
=\frac{7}{8}
よって、1番目から503番目までの和は、
\frac{527}{2}+\frac{11}{8}
=\frac{2115}{8}
=264\frac{3}{8}
5 数字のならべかえ
この問題のような、和が決まった数の選び方には公式がないので、樹形図を描いて数えるのがメインの解法になります。重複(ダブり)と数えもらしがないように工夫が必要です。aーbーcーdの樹形図をa≦b≦c≦dというルールを守りながら描くと重複が防げます。では実際に解いてみましょう。
(1) 難易度:★☆☆☆☆
4回玉をひいて22点を取る取り方を数えます。まず基礎点が12点あるので、4つの玉の数字の計算値は10になります。
条件よりa=0として、b+c+d=10となるように樹形図を描くと…
0ー1-1-8
| \2ー7
| \3-6
| \4-5
|
\2ー2ー6
| \3ー5
| \4ー4
|
\3ー3ー4
以上、8通り。
(2)難易度:★★☆☆☆
「0の青玉を3個、0以外の青玉を1個取り出し得点が22点」は不可能なので0通り。
「0の青玉を2個、0以外の青玉を2個取り出し得点が22点」となる取り出し方は問題文より5通り。
「0 の青玉を1個、0以外の青玉を3個取り出し得点が22点」となる取り出し方は(1)より8通り。
「0以外の青玉を4個取り出し得点が22点」となるには、1≦a≦b≦c≦dでa+b+c+d=10となればよいことになります。 取り出し方は下の樹形図より9通り。
1ー1-1-7
| \2ー6
| \3-5
| \4-4
|
\2ー2ー5
| \3ー4
|
\3ー3ー3
2ー2-2-4
\3ー3
以上より「青玉を4個取り出し得点が22点」となる取り出し方は、
5+8+9=22(通り)
(3)難易度:★★★☆☆
赤玉で出た数字は【】記号を付けて表すことにします。
【1】のとき、青玉3つの合計が11になります。同様に、【2】【3】のときには青玉3つの合計はそれぞれ12、13となります。樹形図を描くと、
【1】ー0-2-9
| \3ー8
| \4-7
| \5-6
|
\1ー1ー9
| \2ー8
| \3ー7
| \4ー6
| \5ー5
|
\2ー2ー7
| \3ー6
| \4ー5
|
\3ー3ー5
\4ー4
【2】ー0-3-9
| \4ー8
| \5-7
| \6-6
|
\1ー2ー9
| \3ー8
| \4ー7
| \5ー6
|
\2ー2ー8
| \3ー7
| \4ー6
| \5ー5
|
\3ー3ー6
| \4ー5
|
\4ー4ー4
【3】ー0-4-9
| \5ー8
| \6-7
|
\1ー3ー9
| \4ー8
| \5ー7
| \6ー6
|
\2ー2ー9
| \3ー8
| \4ー7
| \5ー6
|
\3ー3ー7
| \4ー6
| \5ー5
|
\4ー4ー5
以上、あわせて44通り。
(4)難易度:★★★★★
「青玉を2個、赤玉を2個取り出し得点が22点」となる場合を考えます。
青玉2個の数字合計は0以上18以下、 赤玉2個の数字合計は2以上6以下です。その範囲の中で、
(青玉2個の合計)ー(赤玉2個の合計)=10となるのは、
(青玉2個の合計,赤玉2個の合計)が
(12,2),(13,3),(14,4),(15,5), (16,6) のときです。
それぞれの場合について、玉の数字の組み合わせを表にすると下のようになります。
青玉 2個の 合計 | 青玉2個 の組合せ | 赤玉 2個の 合計 | 赤玉2個 の組合せ | 取り出し 方の合計 |
12 | (3,9) (4,8) (5,7) (6,6) | 2 | 【1,1】 | 4×1=4 |
13 | (4,9) (5,8) (6,7) | 3 | 【1,2】 | 3×1=3 |
14 | (5,9) (6,8) (7,7) | 4 | 【1,3】 【2,2】 | 3×2=6 |
15 | (6,9) (7,8) | 5 | 【2,3】 | 2×1=2 |
16 | (7,9) (8,8) | 6 | 【3,3】 | 2×1=2 |
よって、 「青玉を2個、赤玉を2個取り出し得点が22点」となるのは、
4+3+6+2+2=17通り
また、「青玉を1個、赤玉を3個取り出し得点が22点」や
「赤玉を4個取り出し得点が22点」 となるのはどちらも不可能なので、
0通り。
以上と(2)(3)より、得点が22点となるのは、
22+44+17=83(通り)