神戸大学入試解説│2021年度 化学 過去問

今回は神戸大学の過去問です。

Ⅰ 化学平衡と平衡定数

「化学平衡と平衡定数」に関する問題です。この単元ではおなじみの「ヨウ素と水素からヨウ化水素が生成する反応」がテーマです。計算量はやや多いですが、問われている内容は基礎的なものですので、全問正解しておきたいところです。

問1 難易度:★★☆☆☆

実験1において「HIは存在せずI₂およびH₂の初濃度がいずれも2.00mol/Lのとき、反応開始直後のHIの生成濃度は1.60×10⁴ mol/(L・S)であった」とあります。

よって、vHI=2v₁より、v₁=\frac{1}{2} ×vHI=8.00×10³ mol/(L・S)

v₁=k₁[I₂][H₂]に
v₁=0.80×10⁴ 、[I₂]=[H₂] =2.00を代入して解くと、

k₁=2.0×10³[L/(mol・S)]

また、実験3において「1000Kにおいて、…平衡定数は25であった」とあります。よって、

K= \frac{ k₁ }{ k₂ }\frac{ 2.0×10³ }{ k₂ } =25

よって、k₂= 2.0×10³ ÷ 25=8.0×10¹[L/(mol・S)]

問2 難易度:★★☆☆☆

実験2において、「1000Kにおいて、I₂およびH₂は存在せず、HIの初濃度がx[mol/L]のとき、反応開始直後のI₂の生成速度は7.20×10²[mol/(L・S)]であった」とありますから、

vI ₂=v₂=k₂[HI]² = 8.0×10¹×x²=7.20×10²[mol/(L・S)]

よって、

x²=7.20×10² ÷(8.0×10¹)=9 よって、x=3[mol/L]

問3 難易度:★☆☆☆☆

【I₂】 I₂=254だから、762gのI₂の物質量は、762÷254=3[mol]

【H₂】気体の状態方程式PV=nRTを変形して、

nH₂= \frac{ PV }{ RT } =1.01×10⁵×50÷(8300×303)= \frac{ 500 }{ 249 }≒2(mol)

問4 難易度:★★☆☆☆

H₂とI₂からHIが生じる反応において、分子数は変わらないので、反応が進んでも全圧は変わりません。よって、反応前の全圧を求めればよいことになります。

よって、気体の状態方程式P= \frac{nRT}{V}をもちいて

P全圧=\frac{(3+2)×8300×1000}{50}=8.3×10⁵(Pa)

また、反応容器の容積は50Lであることから、I₂およびH₂の初濃度を求めると、

[I₂]₀=3 ÷ 50=0.06(mol/L)
[H₂]₀=2 ÷ 50=0.04(mol/L)

実験3における平衡に至るまでのI₂およびH₂の変化量をy(mol/L)とおくと、0<y<0.04で、反応前の濃度、変化量、反応後の濃度をまとめると以下のようになります。

H₂I₂2HI
反応前0.040.06
変化量-y-y+2y
平衡時0.04-y0.06-y2y


1000Kにおける平衡定数が25なので、

K=\frac{(2y)²}{ (0.04-y)(0.06-y)}=25

これを解くと、y=\frac{1}{30}\frac{3}{35}

0<y<0.04より、y=\frac{1}{30}

よって、反応後のH₂の分圧は、

(0.04-\frac{1}{30})×8300×1000=55333.3…≒5.5×10⁴(Pa)

化学平衡の問題を解く上で、「反応前・変化量・平衡時」の表を書き、そこから方程式をつくって解くスキルは必須です。頻出項目ですので、できない人は練習しておきましょう。

問5 難易度:★★☆☆☆

実験3、4の結果から、温度が高いほどが平衡定数は小さくなることがわかります。

平衡定数は分数\frac{[HI]²}{[H₂][I₂]}であらわされるので、

温度が高くなる→平衡定数が小さくなる→H₂およびI₂濃度が増大し、HI濃度が減少する

ということが分かります。つまり、

 H₂ + I₂ ⇄ 2HI …①

の反応において温度を上げると、平衡は左に傾くということです。よって、①の逆反応(←の方向)は吸熱反応であり、正反応(→の方向)は発熱反応であると分かります。

 

Ⅱ 塩素の製法

「塩素の製法」に関する問題です。問題数は多いですが、どれも基本的な知識・内容ばかりです。合格のためには1問も落とせません。

問1 難易度:★★☆☆☆

フッ素は水と激しく反応します。その反応式は、

 2F₂ + H₂O → 2HF + O₂

となります。

問2 難易度:★☆☆☆☆

塩素は水に溶けると、以下のように反応して、塩化水素(HCl)と次亜塩素酸(HClO)を生じます。塩素の酸化数は、HClにおいては-1、 HClOにおいては+1となっています。

 Cl₂ + H₂O → HCl + HClO

問3 難易度:★☆☆☆☆

臭素水を脱色するのは不飽和結合をもつ炭化水素です。選択肢のうち不飽和結合をもつのはC₂H₄(エチレン)とC₂H₂(アセチレン)、不飽和結合をもたないのはC₂H₆(エタン)です。

問4 難易度:★★☆☆☆

ヨウ素はそのままではほとんど水に溶けませんが、ヨウ化カリウム水溶液には以下のように反応して溶けます。

I₂ + I⁻ → I₃⁻

こうしてできるのが、デンプンの検出でおなじみのヨウ素液です。このイオンは「三ヨウ化物イオン」といいますが、この名前は覚えなくてよいでしょう。

問5 難易度:★★☆☆☆

下線部③の塩素の実験室的製法は酸化還元反応であり、塩化物イオンCl⁻と酸化マンガン(Ⅳ)MnO₂の半反応式から作ることが可能です。

2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ …(ア)

MnO₂ + 4H⁺ + 2e⁻ → Mn²⁺ + 2H₂O…(イ)

(ア)+(イ)より、

2Cl⁻ + MnO₂ + 4H⁺ + 2e⁻ → Cl₂ + Mn²⁺ + 2H₂O +2e⁻

その後、両辺の電子を相殺します。H⁺の供給源は塩酸なので、両辺に2Cl⁻を加えたのち、適宜イオンを組み合わせます。

4HCl + MnO₂ → Cl₂ + MnCl₂ + 2H₂O

問6 難易度:★★☆☆☆

洗気びんとは、気体中の不純物を液体で除去するための器具です。

ふつう、化学反応で得られた気体には未反応の気体や副生成物などが含まれますので、液体の中をコポコポと通すことにより、目的の気体以外の気体を取り除くのです。

③の反応で、発生することが予想される気体は、塩素Cl₂、水蒸気H₂O、そして塩化水素HClです。このうち、水蒸気と塩化水素を取り除く必要があります。

水蒸気を吸収できる液体といえば、濃硫酸ですよね。

塩化水素HClは塩素に比べ水に溶けやすい気体なので、水を通せば取り除けます。

塩化水素は酸性の気体だから「水酸化ナトリウム水溶液」と答えてしまった人もいるかもしれません。しかし、それだと塩素Cl₂も中和反応を起こして吸収してしまうので間違いです!

接続する順番も大事です。濃硫酸→水の順番に通してしまうと、せっかく吸収した水蒸気が、2つ目の洗気びんを通すことで再度混ざってしまいます。

洗気びん

よって、水が先で、濃硫酸が後が正解。

Aは、目的は塩化水素を除去するため。

Bが濃硫酸、目的は水蒸気を除去するため。

問7 難易度:★★☆☆☆

塩素は水に少し溶け、空気より重い気体なので、下方置換で集めます。

塩素を塩化ナトリウム水溶液からつくるには下図のような反応槽をつかいます。反応槽を陽イオン交換膜によって2槽に分け、飽和NaCl水溶液中のナトリウムイオンだけを陰極側に移動させ、電気分解をおこなうことで陽極より塩素Cl₂が生じます。

陽イオン交換膜を用いた、水酸化ナトリウムと塩素、水素の製法

この製法は水酸化ナトリウムの工業的製法として教科書に載っていますね。水酸化ナトリウムは工業的に大量に消費されるので、この製法で必要な塩素の大部分をまかなうことができます。このように工業的製法では、一つの反応系で複数の物質をつくることがよくあります。

たとえば、フェノールをつくるクメン法では副産物としてアセトンができましたね。これによって得られるアセトンの量は需要に対して過剰です。よって、消費されるほとんどのアセトンはクメン法の副産物でまかなわれます。

問8 難易度:★★☆☆☆

上図より、各電極で起こる反応は以下の通りです。

陰極の反応:2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻

陽極の反応:2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻

問9 難易度:★★☆☆☆

NaOH=40より、水酸化ナトリウム800mgの物質量は、

\frac{800}{1000} ÷ 40=0.02(mol)

また、問8の陰極のイオン反応式 (2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻)より、電子1molあたり水酸化物イオン1molが生じます。

よって、このとき流れた電子も0.02mol であると分かります。

電流を流した時間をt秒とすると、電流の大きさが2Aなので、その電気量は2t(クーロン)だから、ファラデーの法則より、

9.65×10⁴×0.02=2t

これを解いて、t=965(秒)

 

Ⅲ 有機化合物の構造決定

 

※この問題は問7に設問ミスがあり、大学により訂正されています。

令和3年度神戸大学学部一般選抜 (前期日程) の理科 (化学) における出題誤りについて

「有機化合物の構造決定」に関する問題です。設問ミスのあるいわくつきの問題ですが、それ以外は易~中レベルの標準的な問題なので、練習問題として取り組んでもいいでしょう。

問1 難易度:★☆☆☆☆

ヨードホルムの分子式はCHI₃です。

「Hが3つだっけ、Iが3つだっけ」と迷うことがありますね。私は飼ってる猫が「チャイ」というので「チャイさん、チャイさん」と覚えていました。

子猫のときのチャイさん

問2 難易度:★☆☆☆☆

試験管内でホルミル基(アルデヒド基)をもつ化合物にアンモニア性硝酸銀水溶液を加えてあたためると、試験管の内側に銀が析出します。これを銀鏡反応といいます。

ひと昔前は「アルデヒド基」だったのですが、今は「ホルミル基」がメインで使われてきているようです。日本化学会という大きな組織からの提案で変わっているようなので、だんだん置き換わっていくでしょう。「ホルミル基」で覚えましょう。

問3 難易度:★☆☆☆☆

分子量134で質量組成が炭素80.6%、水素7.5%なので、

C:134×\frac{80.6}{100} ÷12≒9

H:134×\frac{7.5}{100} ÷1≒10

C₁₄H₂₀をオゾン分解しているからOの数は1つです。

よって、D、E、Fに共通する分子式はC₉H₁₀Oとなります。

問4 難易度:★☆☆☆☆

G、Hの分子式をCxHyOとおくと、

C₁₄H₂₀ + O₂ → C₉H₁₀O + CyHxO

よって、G、Hの分子式はC₅H₁₀O

問5 難易度:★★☆☆☆

Gについての条件を箇条書きにして整理してみましょう。

・問4より、分子式はC₅H₁₀O
・オゾン分解していることからカルボニル基(-CO-)をもつ
・銀鏡反応を示さないことから、ホルミル基をもたない
・ヨードホルム反応を示すことからCH₃-COの構造をもつ。

以上より、Gとして考えられる構造は、以下の2つです。

問6 難易度:★★☆☆☆

Gと同様に、Hの条件を箇条書きにして整理してみましょう。

・問4より、分子式はC₅H₁₀O
・オゾン分解していることからカルボニル基(-CO-)をもつ
・銀鏡反応を示さないことから、ホルミル基をもたない
・ヨードホルム反応を示さないことからCH₃-COの構造をもたない。

以上より、Hとして考えられる構造は、以下の1つだけです。

問7 難易度:☆☆☆☆☆ 設問ミス

設問ミスがありますが、ひとまず設定どおり考えてみましょう。

D、E、Fの炭化水素基を酸化してカルボキシ基に置き換えた異性体I、J、Kについて考えます。これらは構造異性体で分子量210です。

ベンゼンC₆H₆=78、カルボキシ基-COOH=45ですから、ベンゼン環の水素原子のうち3つがカルボキシ基に置換された構造だと分かります。よって、I、J、Kの構造として考えられるのは以下の(ア)(イ)(ウ)の3つです。

(ア)
(イ)
(ウ)

また、D、E、Fの炭素数が9であることから、ベンゼン環以外の炭素数は3です。これが酸化されて上記のI、J、Kのいずれかになるのですから、酸化により炭素は1つも減らないことになります。

C₉H₁₀Oという分子式から考えて、D、E、Fはベンゼン環にホルミル基が1つ、メチル基-CH₃が2つ結合したものだとわかります。よって、候補として以下の(エ)~(ケ)の6つが考えられます。

(エ)
(オ)
(カ)
(キ)
(ク)
(ケ)

さらに、置換基の位置関係より、以下の対応関係があります。

D、E、FI、J、K
(エ)、(オ)、(カ)

  
― 酸化 →(ア)

(キ)、(ク)

― 酸化 →(イ)

(ケ)

― 酸化 →(ウ)

ここで実験5の結果をあわせて考えます。

まず、「Kのベンゼン環に直接結合している水素原子はすべて性質が同じ」とあります。(ア)、(イ)、(ウ)のうち水素原子の性質がすべて同じものは(ウ)ですので、(ウ)がKであり、酸化前の物質を考えると(ケ)がFであることが分かります。

次に、「E、F、I、Jにはそれぞれ2種類」あります。(エ)~(ケ)の中でこれにあたるのは(キ)と(ケ)です。(ケ)はFなので、Eは(キ)でとなります。ここから、Eを酸化してできるJは(イ)だと分かります。

ここまでで分かっていることを表にまとめると以下の通りです。

D、E、FI、J、K
(エ)、(オ)、(カ)

  
― 酸化 →(ア)

(キ)=E、(ク)

― 酸化 →(イ)=J

(ケ)=F
― 酸化 →(ウ)=K

このように考えると、消去法により(ア)がIとなります。

酸化して(ア)すなわちIとなるのはDであり、その候補は(エ)、(オ)、(カ)。本文には、性質の異なる水素原子が「Dには3種類」あると書いてます。しかし、Dの候補である(エ)、(オ)、(カ)はすべてこれにあてはまります。

問題からしぼり切れるのはここまで。Dの構造を決定することができません。よって、設問ミスです。

設問ミスはあってはならないことですが、出題者も人間です。限られた時間で問題をつくっているので、常にミスが起こる可能性はあります。この問題は「全員を正解とする」という対応となり「合否に影響なし」としていますが、この問題で悩んで時間を費やした受験生は損をしたことになります。どうしても答えが条件に合わないといって時間を使うことはリスキーです。5分以上悩んだらあきらめて次の問題へ進むことも大切です。

 

また余談ですが、大学の出している訂正にも疑問が残ります。

 誤:I,J,Kは 互いに異性体 であり
 正:I,J,Kは 同じ分子式 であり

としていますが、I、J、Kが互いに異性体でなく、I=J=(ウ)となる可能性があったとしても、Dの候補が(エ)、(オ)、(カ)、(ク)に増えるだけで、Dの構造を決定することはできません。

 

Ⅳ ペプチドのアミノ酸配列決定

「ペプチドのアミノ酸配列決定」に関する問題です。実験結果から得られる様々な情報をいかにまとめて構造を決定するかが大事です。

問1 難易度:★★☆☆☆

(ア)タンパク質(ペプチド)を水酸化ナトリウムと加熱後、酢酸鉛(Ⅱ)水溶液で黒色沈殿を生じます。この反応はシステインの側鎖中の硫黄原子との反応によります。

(イ)(ウ)濃硝酸を加えて加熱するとアミノ酸の側鎖中のベンゼン環ニトロ化されて黄色くなります。

(エ)(オ)エタノール溶液に濃硫酸を加えて加熱しているので、ペプチドのC末端や側鎖にあるカルボキシ基とのエステル化反応であると分かります。

(カ)アミノ基をほかの官能基に置き換えることで乳酸に変わるアミノ酸はアラニンで、その官能基はヒドロキシ基です。

乳酸の構造式
乳酸
アラニンの構造式
アラニン

問2 難易度:★☆☆☆☆

実験1より、側鎖にS(硫黄)をもつシステイン()が含まれることがわかります。

実験2より、側鎖にベンゼン環をもつチロシン() が含まれることがわかります。

問3 難易度:★☆☆☆☆

実験2より、ペンタペプチドを構成する5つのアミノ酸のうちの1つがチロシンであることがわかります。よって、1つのベンゼン環がニトロ化されるので、1つの水素原子-H(=1)がニトロ基-NO₂(46)に置き換わることから、分子量は45増加します。

問4 難易度:★★☆☆☆

実験3の結果より、カルボキシ基の数だけエタノールとエステル化を起こします。よって、ペプチド②は1つ、ペプチド①は2つ、ペプチド③は3つのカルボキシ基を持つことが分かります。

カルボキシ基-COOH(=45)がエチルエステル-COOC₂H₅(=73)に置き換わりますので、カルボキシ基1か所につき分子量は28増加します。

問5 難易度:★★☆☆☆

問4より、ペプチド③は3つのカルボキシ基をもちます。ペプチド1つにつきC末端は1つしかないので、ペプチド③はC末端以外に、側鎖にカルボキシ基を持つアミノ酸を2つ含むことが分かります

問6 難易度:★★☆☆☆

ペプチド①について実験1~5からわかることを箇条書きにしてまとめていきます。

実験1:硫黄検出反応陰性より、システインを含まない
実験2:ベンゼン環をもつから、チロシンを含む
実験3:カルボキシ基を2つもつからアスパラギン酸またはグルタミン酸を含む
実験4:ビウレット反応陰性であることから、アミノ酸2つ以下
実験5:ペプチド③との分子量の差は48

実験1~4より、ペプチド①は「チロシンとアスパラギン酸」か「チロシンとグルタミン酸」のジペプチドであると分かります。

それぞれの分子量は、
チロシンとアスパラギン酸 :181+133-18=296
チロシンとグルタミン酸  :181+147ー18=310

一方、ペプチド③は実験3よりカルボキシ基を3つもち、実験4よりアミノ酸2つ以下であることから 「アスパラギン酸とグルタミン酸」 からできるジペプチドであることが分かります。

その分子量は、133+147-18=262

よって、②は分子量310でありるチロシンとグルタミン酸からなるジペプチドであると分かります。

問7 難易度:★★☆☆☆

まだ、ペプチド②について、あまり考察が進んでいないので、ペプチド②について、実験1~4からわかることをまとめていきます。

実験1:硫黄検出反応陽性より、システインを含む
実験2:ベンゼン環をもつから、チロシンを含む
実験3:カルボキシ基が1つなので、アスパラギン酸もグルタミン酸を含まない
実験4:ビウレット反応陽性であることから、アミノ酸3つ以上

ここで、ペンタペプチドに含まれる5つのアミノ酸について、システイン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニンであると確定します。

ペプチド②についてアミノ酸3つ以上で、アスパラギン酸もグルタミン酸を含まないことから、ペプチド②はシステイン、チロシン、アラニンからなるトリペプチドであることが分かります。また、実験6よりN末端はアラニンです。

ペプチド①、②、③についてわかっていることをまとめます。

ペプチド①:チロシンとグルタミン酸からなるジペプチド
      → EYまたはYE

ペプチド②:アラニンがN末端にありシステインとチロシンも含むトリペプチド
      → ACYまたはAYC

ペプチド③:アスパラギン酸とグルタミン酸からなるジペプチド
      → DEまたはED

これがすべてペンタペプチドを加水分解して得られることから、そのアミノ酸配列はN末端からACYEDとなります。

 

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