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神戸大学入試解説│2020年度 化学 大問Ⅲ

問題文をそのまま掲載すると著作権上問題となる可能性があるため、神戸大学のサイトにある過去問PDFを見てください。そしてまず自分で解いてみてから以下の解説を読んでください。

神戸大学過去問 2020年度 化学 大問Ⅲ

神戸大学の化学過去問(2020年度)「有機化合物の構造決定」の問題です。丁寧に誘導されており、問われる知識も教科書レベルのものです。正しい方法で基礎~標準レベルの演習がきっちりできていれば解けるはずです。

問1 難易度:★☆☆☆☆

Jは「ナトリウムフェノキシドと二酸化炭素を加熱・加圧して反応させた後、希硫酸で処理して生じた化合物」なので、サリチル酸であることが分かります。

サリチル酸

問2 難易度:★★☆☆☆

問1よりA、B、C、Dはサリチル酸からつくられるエステルです。ただし、塩化鉄(Ⅲ)水溶液で呈色することから、 ヒドロキシ基ーOHは生きていて、カルボキシ基に何らかのアルコール(F、G、H、I)がエステル結合していると考えられます。

よって、F、G、H、Iはすべて金属ナトリウムと反応します。

問3 難易度:★★☆☆☆

サリチル酸はC₇H₆O₃で表されるのでF、G、H、Iの分子式をCxHyOzとおくと、

C₇H₆O₃ + CxHyOz → C₁₁H₁₄O₃ +H₂O

が成り立つのでF、G、H、Iの分子式は C₄H₁₀Oだと分かります。これらがアルコールだということは分かっているので、構造異性体のうち、候補は以下の4つです。

1-ブタノール
1-ブタノール
2-ブタノール
2-ブタノール
2-メチル-1-プロパノール
2-メチル-1-プロパノール
2-メチル-2-プロパノール
2-メチル-2-プロパノール

このうち、不斉炭素原子をもつのは2-ブタノールです。2-ブタノールは4つのアルコールのうち唯一、第二級アルコールです。問題文に「(酸化により)Fからケトンが生じた」とあるので、Fが2-ブタノールだと分かります。よって、不斉炭素原子をもつのはF。

問4 難易度:★★☆☆☆

問題文に「Iは酸化されなかった」とあるので、化合物Iは唯一の第三級アルコールである2-メチル-2-プロパノールだと分かります。よって、残りのGとHが第一級アルコールであり、酸化の過程で還元性をもつアルデヒドが得られます。よって、GとH。

問5 難易度:★★☆☆☆

ヨードホルム反応を示すのは以下の原子団をもつ物質です。

ヨードホルム反応を起こす構造1
ヨードホルム反応を起こす構造2

4つのアルコールのうち、この構造をもつのは2-ブタノールです。よって化合物F。

問6 難易度:★★☆☆☆

化合物F(2-ブタノール)を分子内脱水して得られるアルケンは、シス-トランス異性体も含めて以下の3種類です。

1-ブテン
1-ブテン
シス-2-ブテン
シス-2-ブテン
トランス-2-ブテン
トランス-2-ブテン

問7 難易度:★★★☆☆

化合物Eを加水分解して得られる化合物Mは1個のヒドロキシ基をもち、もう一つ「水素置換基」があることは分かっています。これをRとおきます。Rは加水分解されているので、その原子団にカルボキシ基もしくはヒドロキシ基をもつと考えられます。 また、Rに含まれる炭素数は0~3個で候補はとてもたくさんあります。さらにRとヒドロキシ基との位置関係は、オルト位(-)、メタ位(-)、パラ位(-)の3通りあります。

オルト位
オルト位
メタ位
メタ位
パラ位
パラ位

しかし「ベンゼン環上の水素原子の一つを塩素原子に置換」すると、異性体の数はオルト位とメタ位は4種類、パラ位は2種類になってしまうので、条件に合いません。実際に描いてみると分かります。

ただし、Rもヒドロキシ基の場合、つまりベンゼン環にヒドロキシ基が2つ付く場合は特別です。2つのヒドロキシ基がメタ位に付いたときに「水素原子の一つを塩素原子に置換した化合物には 3 種類の異性体が存在」します。

2-クロロ-1,3-ベンゼンジオール 、 4-クロロ-1,3-ベンゼンジオール 、 5-クロロ-1,3-ベンゼンジオール

よって、化合物Mの構造式は下図のとおりです。m-ベンゼンジオールといいます。

m-ベンゼンジオール
m-ベンゼンジオール

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