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神戸大学入試解説│2020年度 化学 大問Ⅱ

問題文をそのまま掲載すると著作権上問題となる可能性があるため、神戸大学のサイトにある過去問PDFを見てください。そしてまず自分で解いてみてから以下の解説を読んでください。

神戸大学過去問 2020年度 化学 大問Ⅱ

神戸大学の化学過去問(2020年度)「銅の電解精錬」に関する問題です。頻出テーマではあるものの大問一つまるまるこのテーマに使われることはそこまで多くありません。「酸化還元」や「ファラデーの法則」など基本的な知識を幅広く問う良問だと思います。

問1 難易度:★☆☆☆☆

銅の電解精錬では、粗銅板から銅がイオンになって溶解します。電子は導線を伝わって純銅板側に移動し、純銅板の表面にて電解液中の銅イオンが電子を受け取って純銅が析出します。

外部電源の正極側につながっている粗銅板側が極、負極につながっている純銅板側が極になります。

銅の電解精錬

問2 難易度:★☆☆☆☆

問1で示した図のように粗銅板では銅がイオンとなって溶けだし、電子が放出されます。

Cu→Cu²⁺+2e⁻

問3 難易度:★★★☆☆

「電解精錬後に粗銅板の下に生成した沈殿」のことを陽極泥といいます。教科書的には、陽極泥には銅よりもイオン化傾向の小さい金属で、金や銀などの貴金属が含まれます。また、銅よりもイオン化傾向の大きい金属であっても、硫酸イオンと難溶性の塩を作ってしまうような金属は、沈殿となって粗銅板の下にたまってしまいます。よって、沈殿に含まれる金属元素は以下の2つです。

Ag:銅よりもイオン化傾向が小さいため。

Pb:難溶性の塩である硫酸鉛を生じるため。

硫酸イオンと難溶性の塩をつくる金属元素は、カルシウム、鉛、バリウムです。これらの塩は広く生活に利用されているので、関連づけて覚えましょう。
 ・硫酸カルシウム → 石膏
 ・硫酸鉛 → 鉛蓄電池(自動車のバッテリー)
 ・硫酸バリウム → レントゲン写真の造影剤

問4 難易度:★★☆☆☆

純銅板側では、以下の反応で純銅が析出します。

Cu²⁺+2e⁻→Cu

よって、電子2molあたり1molの銅が析出します。流れた電子の物質量はファラデー定数を用いて計算します。150Aで2時間40分50秒、すなわち9650秒電流が流れたときの電気量は、
150×9650=1447500(C)

よって、ファラデー定数を用いると、
1447500÷96500=15(mol)

だから、15molの電子が流れたことになります。よって、析出した銅の質量は、
63.5×15÷2=476.25≒4.76×10²(g)

問5 難易度:★★★☆☆

粗銅板では、銅だけでなく、銅よりもイオン化傾向の大きい金属がイオン化しています。それらも当然、イオンになるために電子を放出します。

一方、純銅板側では、電子を受け取るのは水溶液中で最もイオン化傾向の小さい銅イオンだけです。

銅の電解精錬(不純物)

よって、電解液において(粗銅板から供給される銅イオン)<(純銅板で消費される銅イオン)となります。つまり、電解精錬を続けると、電解液中の銅イオン濃度は少しずつ減少していきます。よって解答は以下の通りです。

【減少する】
理由:陽極ではCuだけでなく不純物のうち銅よりイオン化傾向の高い金属も酸化される。これに対し、陰極ではCu²⁺のみが還元される。陽極で発生したe⁻は全て陰極でのCu²⁺の還元に使われる。よって電解液中のCu²⁺について、陰極での析出による消費が陽極での溶解による供給を上回るので、Cu²⁺総量は減少する。

 

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