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神戸大学入試解説│2020年度 生物 大問Ⅱ

神戸大学過去問 2020年度 生物 大問Ⅱ

問題文をそのまま掲載すると著作権上問題となる可能性があるため、神戸大学のサイトにある過去問PDFを見てください。そしてまず自分で解いてみてから以下の解説を読んでください。

神戸大学の生物過去問(2020年度)「酵素反応と最適pH」に関する問題です。問1、2は基本的な知識を問う問題ですが、問3は実験結果から発展的な内容を読み取り、指定字数にまとめるやや難しい問題になっています。

問1 難易度:★★★☆☆

酵素反応の速度が酵素濃度に依存するのは「基質が十分たくさんあるとき」です。酵素反応では、酵素と基質はいったん結合して酵素基質複合体になる必要があるからです。

酵素を工場で働く作業員、基質を材料に例えてみましょう。酵素基質複合体は作業に取りかかっている状態ということになります。材料が十分たくさんあるとき、作業員が2人から4人に増えると全員が作業に取りかかれますので、作業スピードは2倍になりますね。

基質過剰の酵素基質反応

でも材料が少ないときは、作業員が2人から4人に増えても仕事のない作業員が出てきてしまい、作業スピードが2倍にならないという事態が起こります。

酵素過剰の酵素基質反応

これと同じことが酵素反応でも起こります。つまり、基質濃度6.0mg/ml NPPだと、基質がたくさんあり、酵素を増やしても常に基質酵素複合体ができている状態なので、酵素濃度と反応速度は比例します。

しかし、基質濃度0.2mg/mlだと基質濃度が低すぎて、酵素濃度を増やしていくと基質酵素複合体をつくれない酵素が出てきてしまいます。反応速度は酵素濃度に比例しなくなるのです。

【解答】
酵素過剰で酵素基質複合体をつくれない酵素があらわれるため。(29字)

問2 難易度:★★☆☆☆

ヒトの胃液には塩酸が含まれており、pH1~2程度の強酸性です。これは食べた物を殺菌する目的があります。そして、胃ではたらきタンパク質を分解するペプシンはpH2前後で最もよくはたらき、中性や塩基性になると変性・失活してしまうという性質をもっています。

【解答】
胃で働き、食物中のタンパク質を分解する活性をもち、最適pHが約2の消化酵素。(37字)

問3 難易度:★★★★☆

この問題を理解するためには実験2と実験3の違いを整理することが大事です。実験2では、グラフの横軸にあるpH下で反応をさせているのに対し、実験3ではそのpHで前処理をし、最適pH5.6で反応させています。

グラフを見ると、pH3、4、5、6で前処理した酵素は最適pH・前処理なしでの反応と同程度の活性をもっていることが分かります。このことは「pHを最適pH付近に戻せば活性は可逆的に回復する」ことを示しています。

ただし、 pH2、7、8で前処理した酵素は大きく活性が落ち、最適pHに戻しても前処理なしと同程度までは回復していません。これは前処理のpHが最適pHから大きく外れていると、不可逆的な構造変化を起こし最適pHに戻しても元に戻らない」ことを示しています。

【解答】
pH3から6の失活は可逆的で回復するがそれ以外では不可逆的に構造変化し回復しない。(40字)

最適pHから外れると酵素が変性し失活するということは教科書的な知識ですね。でも実際にはpHの外れ具合によってはその活性低下は可逆的であるということです。このことは教科書や参考書には載っていません。知識として知っておくのではなく、実験結果からいかに読み取るかがポイントですね。

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