兵庫医科大学(西宮市)入試解説│2021年度 生物

西宮の家庭教師ダイアログによる過去問解説。今回は西宮市にキャンパスがある兵庫医科大学の過去問です。

1 小問集合

西宮の家庭教師 かきた
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兵庫医科大学の生物過去問(2021年度)問1は基礎的な知識を問う、18問の選択問題の集合です。

このような選択問題は「選ばなかった選択肢」についても吟味することが上達のカギです。全問だいたい5つ選択肢があるので、たくさんの知識をチェックできます。全問一つ一つ選択肢を確認していきましょう。

(1)難易度:★☆☆☆☆

A. 酵素は化学反応の速度を大きくします。

B. 酵素による反応は、pHの影響を大きく受けます。

C. 酵素による反応は、温度の影響を大きく受けます。

D. 酵素は活性化エネルギーを小さくすることで、反応を促進します。

E. 酵素反応の進行には酵素-基質複合体の形成が必須です。

よって、BとCが誤りです。

(2)難易度:★☆☆☆☆

A. 細胞膜は小さい気体分子や脂溶性の物質のみを通す、選択透過性をもちます。

B. 細胞膜の主成分はリン脂質です。セルロースは植物の細胞壁の主成分です。

西宮の家庭教師 かきた
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植物細胞だけでなく、原核細胞も細胞壁をもつのは覚えていますか?

ただし、原核細胞の細胞壁には、セルロースは含まれません。ペプチドグリカンという糖とアミノ酸が組み合わさった物質でつくられています。

C. 細胞膜はリン脂質の二重膜で構成されます。

D. 細胞膜には様々なタンパク質が埋め込まれ、様々な機能をもたせています。

E. 電荷をもつ物質は膜を通過しにくく、電荷の小さい脂溶性物質は透過しやすくなっています。

よって、AとDが正しい選択肢となります。

(3)難易度:★★☆☆☆

A. 抗原抗体反応は抗原と抗体の立体構造が合致することで特異的に結合します。

B. ヘモグロビンと酸素との結合は、ヘム鉄中の鉄が酸素と結合することによるもので、ATPはかかわっていません。

C. 精子の鞭毛の運動は、ATPのエネルギーを必要とします。

西宮の家庭教師 かきた
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精子の構造を思い出してみましょう。鞭毛の付け根あたりにはミトコンドリアがありますね。

このミトコンドリアは卵に向かって泳ぐために搭載されたエンジンのようなものです。精液中の糖を取り込んで呼吸し、鞭毛の運動に必要なATPを供給するのです。

D. アクアポリンは水チャネルなので受動輸送、つまりATPのエネルギーは不要です。

E. ナトリウムチャネルも受動輸送であり、ATPのエネルギーは不要です。

よって、Cが正しい選択肢となります。

(4)難易度:★★☆☆☆

A. 成長ホルモンは脳下垂体前葉から分泌され、全身の細胞の代謝を促進します。

B. アドレナリンは副腎髄質から分泌され、血糖を上昇させるなどのはたらきがあります。

C. チロキシンは甲状腺から分泌され、全身の細胞の代謝を促進します。

D. バソプレシンは脳下垂体後葉から分泌され、腎臓集合管での水の再吸収を促し、循環する水分量を増やします。

E. グルカゴンはすい臓のランゲルハンス島A細胞から分泌され、血糖を上昇させるはたらきがあります。

よって、Eが正しい選択肢となります。

(5)難易度:★★★☆☆

A. ウニの最初の3回の卵割は等割です。

B. ウニの発生過程における骨片は一次間充織よりつくられ、 一次間充織は16細胞期の植物極側に形成される小割球に由来します。

C. ウニの発生過程に現れる一次間充織は、中胚葉由来です。

D. カエルの発生では、精子の侵入点の反対側に灰色三日月環があらわれます。

E. カエルの受精卵にあらわれる灰色三日月環は原口背唇部と呼ばれる部分になります。原口はのちに肛門となり、その背唇部ですので背中側です。

よって、Eが誤りです。

(6)難易度:★★☆☆☆

A. B. 魚類の心臓は一心房一心室で、循環経路は「心室→エラ→体循環→心房→心室」です。

C. D. 両生類の心臓は二心房一心室で、循環経路は「心室→肺→左心房→体循環→心房→心室」です。

西宮の家庭教師 かきた
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ただし、心室が一つなので実際には一本道ではなく、肺から戻ってきた血液と体循環から戻ってきた血液は混ざってしまいます。

肺には新鮮な血液が再度送られてしまい、全身には古い血液が供給されることになるので、二心房二心室と比べて効率が悪いんですね。

E. F. ほ乳類の心臓は二心房二心室で、循環経路は「左心室→体循環→右心房→右心室→肺→左心房→左心室」です。

よって、BとDが正しい選択肢となります。

(7)難易度:★★☆☆☆

A. ヒトなどの脊椎動物は集中神経系をもちます。

B. ヒドラやクラゲのなかまなどの刺胞動物は散在神経系をもちます。

C. ミミズなどの環形動物は集中神経系をもちます。

D. プラナリアなどの扁形動物は原始的な集中神経系をもちます。

E. ショウジョウバエなどの節足動物は集中神経系をもちます。

よって、Bが正しい選択肢となります。

(8)難易度:★★★☆☆

A. 犬歯の大きさは類人猿の方が発達しています。

B. 「おとがい」とはあごの先端のことで、ヒトで発達しています。唇の微妙な動きを可能にする筋肉の起点となっています。

C. 眼下上隆起(目の上のおでこのでっぱり)は類人猿の方が発達しています。

D. ヒトの脳容量は1300ml、ゴリラの脳容量は500ml程度です。

E. ヒトは直立歩行のために骨盤で上半身の重心を支える必要があり、類人猿に比べ幅が広くなっています。

F. 大後頭孔(脳から脊髄につながる延髄が通る穴)は、直立歩行するヒトでは鉛直・真下に、それ以外の脊椎動物では水平・後方にあいています。

よって、BとFが正しい選択肢となります。

(9)難易度:★★☆☆☆

A. 骨は中胚葉由来です。

B. 腎臓は中胚葉由来です。

C. 肝臓は内胚葉由来です。

D. 心臓は中胚葉由来です。

E. 中枢神経系は外胚葉由来です。

よって、Dが誤りです。

西宮の家庭教師 かきた
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まずはざっくりと「外肺葉は体の表面と神経」「内肺葉は消化と呼吸」「中胚葉はそれ以外(血管・運動にかかわる部分など)」とおぼえ、それから細かく暗記していくと効率がいいと思います。

外胚葉 → 表皮  → 表皮、水晶体、角膜など
    → 神経管 → 脳、脊髄、網膜など
中胚葉 → 体節  → 骨、骨格筋、真皮など
    → 脊索  → (退縮)
    → 腎節  → 腎臓、輸尿管など
    → 側板  → 心臓(心筋) 、内臓筋、血球など
内肺葉 → 腸管  → 消化管、気管、甲状腺、肺、肝臓、
            すい臓、ぼうこうなど

(10)難易度:★★☆☆☆

A. 結核は細菌による感染症です。

B. 花粉症はアレルギー(ある特定の異物に対して免疫が過剰に反応すること)の一種です。

C. 自己免疫疾患は免疫寛容の異常により起こる病気です。

西宮の家庭教師 かきた
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自己免疫疾患は本来、免疫寛容により免疫反応の対象にならない自分の細胞・組織に対し免疫が攻撃をすることにより起こる疾患です。

膠原病や関節リウマチなどは病名を聞いたことがあるのではないでしょうか。

D. 日和見感染症とは、通常では感染しない非病原性微生物などにより、何らかの原因で免疫不全におちいった宿主に発症する感染症のことです。

E. 悪性リンパ腫は血液がんの1つで、白血球の中のリンパ球ががん化したものです。

F. 後天性免疫不全症候群(AIDS)はヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染により免疫機能が低下し、日和見感染症などを起こした状態をいいます。

よって、Cが正しい選択肢となります。

(11)難易度:★☆☆☆☆

まず、ヒトの網膜に存在し明るいところで色の識別でができる細胞は「錐体細胞」、それが多く存在するところを「黄斑」といいます。

黄斑は視軸の中心あたりにあります。よって、Dが正しい選択肢となります。

(12)難易度:★☆☆☆☆

A. 根が下の方へ延びるのは正の重力屈性によります。

B. 植物のつるが接触したものに巻き付くのは、正の接触屈性によります。

C. 防風林のマツの幹が風下側に傾くのは、傾性・屈性などは関係ないようです。

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おそらく、物理的に力が加わり続けて組織自体が変形するのと「組織が壊れる、修復する」を繰り返すことによって変形するのだと考えられます。

D. 窓際の植物の葉や茎が窓の方向へ延びるのは、正の光屈性によるものです。

E. オジギソウの葉に触れると下垂するのは、接触傾性運動といいます。

F. チューリップの花が昼に開いて夜に閉じるのは、光傾性によります。

よって、EとFが正しい選択肢となります。

(13)難易度:★★☆☆☆

生態系における物質収支で、

 生産者の被食量 = 純生産量 -( 成長量 + 枯死量 )

よって、Aが正しい選択肢となります。

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この図はよく出るので丸覚えですね。とくに「生産量」と「生産量」の違いをチェックしておきましょう。

(14)難易度:★★☆☆☆

この有機化合物が呼吸により異化される(酸化・分解される)ときの化学反応式を、

 C₅₇H₁₁₀O₆ + xO₂ → yCO₂ + zH₂O

 とおくと、

 y=57、z=110÷2=55

 x=(2y+z-6)÷2=(114+55-6)÷2=81.5

 なので、両辺2倍して、

  2C₅₇H₁₁₀O₆ + 163O₂ → 114CO₂ + 110H₂O

よって、この有機化合物の呼吸相は、

 114 ÷ 163 = 0.6993…≒0.70

よって、Gが正しい選択肢となります。

(15)難易度:★★☆☆☆

A. 脂肪は炭素数3のグリセリンに炭素数18前後の脂肪酸が結合した化合物です。結合部分(エステル結合)には1つの結合につき2つ酸素原子があるので、酸素は6つになります。

B. 核酸には、リン(P)と窒素(N)が必ず含まれますので、違います。

C. 炭水化物が炭素1個につき水分子が1個付いたかたちなので分子式 (CH₂O)nであらわされます。

D. アミノ酸には必ず窒素が含まれます。

E. タンパク質には必ず窒素が含まれ、多くの場合硫黄(S)が含まれます。

よって、Aが正しい選択肢となります。

(16)難易度:★★☆☆☆

まず、対物ミクロメーターの1目盛りは1mmを100等分しているので、10㎛です。つまり、10倍の対物レンズで見ているとき、対物ミクロメーターの1目盛りと接眼ミクロメーターの1目盛りが一致しているので、1目盛りは10㎛です。

対物レンズを10倍から40倍に変えると、観察する対象の大きさは4倍大きく見えますが、そのぶん接眼ミクロメーター1目盛りの示す大きさは4分の1になるので、1目盛りは2.5㎛、5目盛り分の細胞は12.5㎛となります。

よって、Dが正しい選択肢となります。

(17)難易度:★☆☆☆☆

標識再捕法は個体群を構成する個体数を推定する為の方法の一つです。

標識再捕法は移動しない生物(植物やフジツボなどの固着生活を行う動物)では使えません。

よって、Eが正しい選択肢となります。

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例えば、ある公園で1度目の捕獲で100匹のセミをつかまえて標識した後にはなし、一定期間をあけて再捕獲します。このとき、100匹中10匹が標識されていれば、「100匹が全体の10分の1」にあたり、この公園には約1000匹のセミがいることが推測されます。

注意点としては、以下の点があります。

・捕獲する個体数が少ないと推定の精度が下がる
・固着生活する生物には使えない
・環境中において生物群の個体数が変化しない(出入り・死亡・誕生等がない)という前提で行う
・捕獲はランダムに行わなければならない
・1回目と2回目は同じ時間帯・場所で行う
・標識により移動困難になったり捕食されやすくなったりするなどの不利益がないようにする
・魚など捕獲されたことを学習する動物の場合には、標識された個体が再捕獲されにくくなることがある

(18)難易度:★★☆☆☆

競争的阻害では、阻害物質が酵素の活性部位に結合し、酵素-基質複合体の形成をじゃまします。基質濃度が十分に高くなると、阻害物質よりも基質の方が十分多くなり、酵素が阻害物質と結合する確率はかなり低くなります。よって、基質濃度が小さいときほど阻害効果が大きく、基質濃度が大きくなるほど阻害効果がみられなくなるグラフ②を選びます。

非競争的阻害では、阻害物質が酵素の活性部位以外のところに結合することで酵素の活性部位の立体構造が変わり、基質と結合できなくなります。 そのため、基質濃度が十分に高くなったとしても、阻害物質が酵素と結合する割合は変わりません。よって、基質濃度が小さいときも大きいときも一定割合の阻害効果みられるグラフ④を選びます。

よって、Eが正しい選択肢となります。

 

2 植物の細胞

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兵庫医科大学の生物過去問(2021年度)問2は植物の細胞に関する問題です。(1)~(5)は植物細胞と浸透圧についての基本的知識を問う問題。(6)(7)は核小体についての知識を問う少し発展期な内容です。

(1)難易度:★☆☆☆☆

これは図を見れば簡単ですね。

細胞内に1個ある(ア)は核、その中に通常1つある(イ)は核小体です。

大きな細胞ほど大きい(ウ)は液胞、細胞膜の外側にある構造(エ)は細胞壁です。

(2)難易度:★☆☆☆☆

植物の細胞壁の主成分はセルロースです。

(3)難易度:★★☆☆☆

図2では、植物細胞が25%ショ糖水溶液(高張液)にさらされ、浸透圧により細胞内の水が細胞外へ出て細胞が縮み、細胞膜と細胞壁が離れた状態になっています。

この現象を原形質分離といいます。

(4)難易度:★★☆☆☆

(3)で説明してしまいましたね。

25%ショ糖液は細胞質に比べて高張なので、細胞内の水分が細胞外へ流出し、細胞膜に包まれた原形質の体積が小さくなり、原形質が細胞壁から離れたから。

(5)難易度:★★☆☆☆

蒸留水(低張液)に細胞をさらすと、浸透圧により細胞外から細胞内へ水が入り細胞は膨らもうとします。ただし、植物細胞では膨らもうとする細胞をおさえつける細胞壁による圧力(膨圧)がはたらきますので、見た目の大きさはそこまで変わりません。

(6)難易度:★★★☆☆

核の中にある核小体は、リボソームRNAの転写や、リボソームの構築が行われる場所です。分子密度が高く、核内のほかの場所よりもRNAが多く存在しています。

そして、文章中の染色液Xは核酸(DNAおよびRNA)を染めるものだと分かります。なので、RNA分解酵素で処理したのち、Xで染色すると(イ)のみが染色性が低下し、(ア)と(イ)に含まれる物質の違いを確認できます。

(7)難易度:★★★☆☆

これも(6)で説明してしまいましたね。

Aで処理することにより、(イ)に存在するリボソームRNAが分解される。(ア) に含まれるRNAは比較的少ないため、処理前と比べて(ア)の染色性はほとんど変わらないが、(イ)は染まりにくくなると予想できる。

 

3 窒素代謝

西宮の家庭教師 かきた
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兵庫医科大学の生物過去問(2021年度)問3は「窒素代謝」に関する問題です。(4)の記述は求められる知識もやや発展的で難問にあたるかもしれません。

(1)難易度:★☆☆☆☆

生物のからだに含まれる有機窒素化合物としては、アミノ酸(タンパク質)やヌクレオチド(核酸)などがあります。

よって、(ア)(イ)はアミノ酸、ヌクレオチド(順不同)です。

植物が利用する無機窒素化合物としては硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオンがあります。

硝酸イオン(NO₃⁻)を還元すると亜硝酸イオン(NO₂⁻)、亜硝酸イオンを還元するとアンモニウムイオン(NH⁺)となります。

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このあたりは化学を学んでいるとすっきりわかるのですが、未履修だと分からないですよね。

酸素原子(O)がくっついたり、水素原子(H)が取れると「酸化」
酸素原子(O)が取れたり、水素原子(H)がくっつくと「還元」

と覚えておきましょう。

よって、(ウ)はアンモニウムイオン、(エ)は亜硝酸イオン、(オ)は硝酸イオンです。

(2)難易度:★★☆☆☆

(ウ)アンモニウムイオンは植物がアミノ酸をつくるうえで重要な材料となります。

アンモニウムイオンはグルタミン酸と結合してグルタミンとなり、そのグルタミンはクエン酸回路の中間物質であるα-ケトグルタル酸と反応し、2個のグルタミン酸になります。

こうしてグルタミン酸を増やし、そのアミノ基をほかの有機酸に受け渡すことにより、アミノ酸をつくります。

(3)難易度:★★☆☆☆

アンモニウムイオンとグルタミン酸が結合してグルタミンを作る反応を触媒する酵素はグルタミン合成酵素です。

グルタミンがと反応し、2個のグルタミン酸をつくる反応を触媒する酵素はグルタミン酸合成酵素です。

グルタミン酸をのアミノ基をほかの有機酸に受け渡しアミノ酸をつくる反応を触媒する酵素はアミノ基転移酵素です。

(4)難易度:★★★★☆

動物の体内で代謝によりうまれてしまう不要物質アンモニアはその濃度が高いと神経細胞などに不調が現れます。グルタミン合成酵素のはたらきにより、アンモニウムイオンをほかの物質に変えるということは、アンモニアの濃度を下げられるということです。

また、アンモニアは肝臓において尿素に変えられますが、肝臓に運ばれるまでには時間がかかりますから、組織においてひとまずグルタミンに変え、細胞への悪影響を最小限にしているといえます。

(解答例)組織で発生した有毒なアンモニアを肝臓で解毒する前段階として、各組織でいったんグルタミンへ変換し濃度を下げる役割。(56字)

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また、グルタミン合成酵素はグルタミンの濃度調整にもかかわっています。

グルタミン酸は神経伝達物質でもありましたね。シナプス間に放出されたグルタミン酸は、放置しておくと興奮を伝達し続けてしまったり、もれ出してほかのシナプスに影響を与えてしまったりします。

神経細胞のまわりには、グリア細胞というサポート役の細胞がいます。グリア細胞の役割の一つとして、放出された神経伝達物質を取り込んで長時間シナプスに留まるのを防ぎ、酵素で代謝し、濃度調整をするはたらきがあります。グルタミンもこのはたらきによって取り込まれ、グルタミン合成酵素により代謝されているのです。

(別解例)シナプス間に神経伝達物質として放出されたグルタミンをグリア細胞内でグルタミンに代謝し、濃度調整をする役割。(54字)

(5)難易度:★★☆☆☆

マメ科植物が窒素固定のために共生関係をきずいているのは根粒菌です。根粒菌は、空気中の窒素を固定してアンモニウムイオンをつくり、マメ科植物に与えています。一方、マメ科植物は、根粒菌に有機物とそのすみかを提供しています。

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つまり、マメ科植物は、根粒菌の力を借りて空気中の窒素を栄養素として使うことができるということです。そのため、マメ科植物は窒素栄養素が乏しいやせた土地でも生育することができます。世界中、多くの地域でマメ類が栽培され、主食として食べられている理由の一つです。

田んぼや畑などにレンゲ(正式にはゲンゲ)やクローバーが生えているのを見たことはないでしょうか。これらはマメ科植物で、雑草として放置されているわけではなく、わざと植えられていることが多いです。

作物を植えていない時期にタネをまき、成長させて窒素固定により窒素栄養素をたくさん取り込ませたところで、植物ごと土を耕してまぜ込みます。これにより、化学肥料を与えずに窒素分を田んぼや畑に供給することができるのです。

 

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