今回は兵庫県公立高校入試2021年度理科の過去問です。
もくじ
Ⅰ 小問集合
解説は省略します。
Ⅱ-1 植物の分類
(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)
生物分野からの出題です。Ⅱ-1、Ⅱ-2ともに基本的な知識を問う問題となっています。教科書レベルの内容を、正しい方法でしっかりと学習していれば全問正解できるでしょう。
(1)難易度:★☆☆☆☆
最初の分岐➀から順番に考えていきましょう。①の×の側にスギナ(シダ植物)とゼニゴケ(コケ植物)がありますので、①は「種子をつくる」だと分かります。また、③は「葉、茎、根の区別がある」です。
残りの選択肢は「子葉が2枚ある」「子房がある」となります。双子葉植物と単子葉植物は被子植物の中での区分なので、②は「子房がある」④は「子葉が2枚ある」となります。
(2)難易度:★☆☆☆☆
Aは双子葉植物なのでタンポポ、Bは単子葉植物なのでイネ、Cは裸子植物なのでイチョウです。
(3)難易度:★★☆☆☆
コケ植物は原始的な植物で、葉、茎、根がなく維管束もありません。体の表面から水分を取り込みます。
Ⅱ-2 メンデルの法則
(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)
(1)難易度:★☆☆☆☆
赤色純系がつくる配偶子の遺伝子型はAで、白色純系がつくる配偶子の遺伝子型はaとなります。それらが受精するので、その子の遺伝子型はAaとなります。
(2)難易度:★★☆☆☆
遺伝子型Aaの個体がつくる配偶子は、Aとaの両方で、その比率は1:1となります。自家受粉すると、これらの配偶子がランダムに組み合わせをつくることになるので、この遺伝子型の比はAA:Aa:aa=1:2:1となります。
よって、孫にあたる個体では、親と同じ遺伝子型Aaは全体の半分になりますので、50%が正解です。
(3)難易度:★★☆☆☆
(2)より、孫にあたる個体にはAA、Aa、aaが含まれます。このうち、赤い花を選ぶと、AAとAaが取り出されることになります。
実験3ではこれらを自家受粉していますが、Aaを自家受粉すると、その子(ひ孫にあたる花)の遺伝子型にはAA、Aa、aaすべて含まれることになります。よって、実験3の結果の花の色は赤と白両方です。
実験4では赤い花どうしで交雑をしています。ここでもAaどうしの交雑が起こることになるので、その子(ひ孫にあたる花)の遺伝子型にはAA、Aa、aaすべて含まれることになります。よって、実験4の結果も赤と白両方となります。
Ⅲ-1 白色粉末の分類
(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)
(1)難易度:★★☆☆☆
石灰水が白く濁るということは、二酸化炭素が発生しているということです。二酸化炭素は、炭素をふくむ物質が燃えた時に発生します。炭素の単体(黒鉛など)だけでなく、有機物にも含まれます。よって、エ。
(2)難易度:★☆☆☆☆
選択肢のうち、有機物は「砂糖」と「デンプン」です。砂糖の方が水に溶けやすいので、Wがイの砂糖、Yがウのデンプンです。
(3)難易度:★★☆☆☆
XとZの候補は、塩化ナトリウムと炭酸水素ナトリウムです。この二つの違いは色々ありますが、分かりやすいのは水に溶かしたときの性質です。塩化ナトリウム水溶液は中性なのに対し、炭酸水素ナトリウム水溶液はアルカリ性です。
文章に「うすい赤色になった」とあるので、使った試薬はアのフェノールフタレイン溶液で、Xがアの塩化ナトリウム、Zがエの炭酸水素ナトリウムだとわかります。
BTB溶液でも液性を判別できますが、酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色なので赤色にはなりません。
ベネジクト液は糖を検出するための試薬です。
Ⅲ-2 塩酸と炭酸カルシウムの反応
(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)
この問題が解けなかった人は、解説を読む前に以下リンク先の『あるサンドイッチやさんのはなし』を読んでください。「最終製品の量は足りていない材料の量によって決まる 」ことを理解しましょう。
【須磨学園中学過去問解説】2021年度 理科 第1回 大問2
(1)難易度:★★☆☆☆
反応前と反応後で、二酸化炭素が出ていくことによって質量が減少しています。(a)の質量と(b)の質量の差が、二酸化炭素の発生量となります。
表より、炭酸カルシウムを1.00gから2.00に増やしたとき、発生する二酸化炭素は0.44g増える。…➀
表より、1gの炭酸カルシウムから発生する二酸化炭素は0.44gだから、比例関係になっていない表のC~Fでは炭酸カルシウムが余っています。反応した炭酸カルシウムの質量は、
1.10÷0.44=2.5(g)
これが塩酸20.0㎤と反応しているので、塩酸を2倍の40.0㎤まで増やすと、炭酸カルシウム5.00gまで反応するようになります。その時発生する二酸化炭素は、2.20gとなります。よって、グラフはウ。…②
(2)難易度:★★☆☆☆
A~Fのビーカーの中身を集めるのですが、反応前の塩酸と炭酸カルシウムを一緒に入れたのと同じ結果になります。ですので、それぞれの質量を集計します。
塩酸 ⇒ 20×6+40=160(㎤)
炭酸カルシウム ⇒ 1+2+3+4+5+6=21(g)
(1)より20㎤の塩酸と2.5gの炭酸カルシウムが反応するので、21gの炭酸カルシウムを反応させるのに必要な塩酸は、
21×\frac{20}{2.5}=168(㎤)
よって、残った炭酸カルシウムを反応させるのに必要な塩酸は、
168-160=8(㎤)
(3)難易度:★★☆☆☆
21gの炭酸カルシウムから発生する二酸化炭素の質量は、
0.44×21=9.24(g)
よって、反応後の容器の中身の質量は、
(塩酸の質量)+(炭酸カルシウムの質量)-(発生した二酸化炭素の質量)
=168×1.05+21-9.24
=188.16(g)
よって、イ。
Ⅳ-1 太陽の動き
(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)
(1)難易度:★★☆☆☆
この日は、太陽が真東からのぼり、真西に沈んでいます。3月であることから春分であることが分かります。
①春分なので、透明半球上の太陽の動きはどの観測地点でも半円となります。よって、点aと点eまで、4時間の間に動く長さはシンガポールでも神戸でも同じとなります。よってイが正解です。
②南半球にあるシドニーでは太陽は南中ではなく北中します。また、春分の日なので、シドニーでも太陽は真東からのぼり、真西に沈みます。よってZが正解です。
(2)難易度:★★★☆☆
透明半球上で、4時間で点aと点e間の12.0cmを動いているので、1時間あたり3.0cm動くことが分かります。点Pとaの間は5.8cmなので、その間を動くのにかかった時間は、
\frac{5.8}{3.0}×60=116(分)
であることがわかります。よって、日の出は午前8時の116分前ということになるので、ウの午前6時4分が正解となります。
(3)難易度:★★☆☆☆
春分から3か月後なので、夏至に近い日ということになります。
② → ×。日の出も日の入りも北寄りになります。
④ → ×。昼の時間が長くなるので、日の出は早く、日の入りは遅くなります。
よって、イ、①と③が正解となります。
Ⅳ-2 金星の見え方
(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)
(1)難易度:★★☆☆☆
ア → ×。金星の公転周期は225日です。
イ → ×。北極の上方から見ると月の公転は反時計回りです。
ウ → ×。月食が起こるのは、地球が太陽と月の間にあるときです。
エ → 〇。図3から分かるように、金星は太陽の近くに見えますので、真夜中に金星を見ることはできません。
(2)難易度:★★★☆☆
① → ×。Dの金星は半分が光り半分が欠けているように見えます。A~Cは半分以上欠けています。
② → 〇。Bの方が近いので、より大きく見えます。ただし、欠け方も大きいのでより明るいとは限りません。
③ → ×。見えている部分が違うので、形は違います。
④ → 〇。下図の通り、C、Dの金星は夜明け前にのぼってきます。いわゆる「明けの明星」です。
よって、オ、②と④が正解となります。
(3)難易度:★★★☆☆
今度は日没直後なので「宵の明星」ですね。下図より、Bの金星は図4の金星の位置(Aの金星)よりも地平線の近く、つまり低い位置にあることになります。よって選択肢はウかエにしぼられます。
あとは月の形ですが、日没直後なので、太陽は西の地平線のすぐ下あたりにあるはずです。よって、月が右側(西側)に太陽の光を受けているエが正解となります。
Ⅴ-1 音と波
西宮の家庭教師ダイアログによる過去問解説。今回は兵庫県公立高校入試の過去問です。
(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)
(1)難易度:★☆☆☆☆
① → おんさの振動は、水面に波として伝わります。
③ → おんさの振動が大きくなると、伝わる波もおおきくなります。
よって、ア。
(2)難易度:★☆☆☆☆
Hz(ヘルツ)は振動数や周波数を表す単位で、1秒間に何回振動するかを表しています。5回振動するのに0.0125秒かかるというということは、1秒間の振動数は、
5÷0.0125=400(Hz)
(3)難易度:★★☆☆☆
それぞれの波形図から、図中の8めもりあたり何回振動しているかを数えます。このとき、波の高さに惑わされないよう注意しましょう。
おんさAの波形→5回振動
Xの波形 → 4.5回
Yの波形 → 5回
Zの波形 → 5.5回
<実験2>の(b)において、おんさAとBは共鳴していることから、同じ周波数をもつことが分かります。よって、おんさBの振動のようすはYとなります。
また、<実験2>の(a)において、 「おんさDの音は、おんさB、おんさCの音よりも高く聞こえた」とあります。よって、おんさDの振動のようすはX~Zの中で最も振動数の多いZであるとわかります。
あとは消去法でおんさCはXということになります。
Ⅴ-2 光の反射
(兵庫県教育委員会の許可を得て掲載しています)
(1)難易度:★☆☆☆☆
鏡に映る像は左右が逆転します。よって、イ。
(2)難易度:★★★☆☆
光の入射角=反射角であることを利用して、点Pから見ることのできる範囲を図示すると下図のようになります。
よって、クモを見ることができるのはC、Dにいるときです。
(3)難易度:★★★☆☆
図6から、点Eを鏡ごしにみることのできる範囲は以下の黄色い部分です。点Pからの距離が最短となるのは赤点で、距離は25cm方眼(正方形)の対角線の長さとなります。
よって、25×\frac{7.1}{5.0}=35.5(cm)