「中学受験はすべきか?」そのメリット・デメリット

西宮、芦屋エリアは中学受験志向が高く、塾と家庭教師を併用する方も増えている印象です。実際に少子化の中、兵庫県の私立中学校の倍率は高く、伸び続けています。 読売新聞(2024/1/10)『兵庫県内の私立中学に1万4159人出願、灘は4.15倍』より。

ただ、西宮にお住まいですでに中学受験に取り組んでいるご家庭でもそもそも受験すべきなのか悩んでいる方は多いです。「正直なところ、中学受験すべきだと思いますか?」という質問を受けることがあります。

「私立中学の受験」「中高一貫校への進学」という選択が、人生を激変させるのは確かです。どう選択をすべきなのか。 自分自身も中学受験をして中高一貫校に通い、家庭教師として多数の中学受験対策をおこなってきました。その経験から中学受験のメリット面、デメリット面に分けてお話ししようと思います。

中学受験のメリット

長期的・計画的に取り組む経験ができる

中学受験はかなりの長丁場であり、家族全体で取り組む一大プロジェクトです。合格をつかむには年単位・月単位の中長期的な計画を立て、それを実行することが大切です。しかし「計画的な行動」は生得的ではないので、生まれながらにしてできる子はいません。中学受験にはご家族はもちろんのこと、家庭教師や塾の先生方など周りの大人たちの協力が不可欠となります。

この「計画的な行動」が今後の人生において非常に大切であることは言うまでもないこと。しかし、小学生にとってそれを実感する機会は多くありません。中学受験は本人にとって、周囲の援助や理解を得つつ計画的な行動を経験できる貴重な機会と言えるでしょう。

コツコツ努力することを学べる

中学受験は小学校の授業で習う内容とは別モノです。算数だけをとってみても「つるかめ算」や「和差算」などの特殊算をひとつひとつ習得する必要があります。難関校になると単純な特殊算を解けるだけではダメで、いくつかの特殊算を組み合わせたり、文章からどの考え方を使うのかを巧みに判断する応用力を付けなければなりません。

私は初めて中学受験の問題を見た時、「ほんとに解けるようになるの?」と高い壁にぶち当たったような感覚をおぼえました。これに対し、基本問題から演習を積み重ねてだんだん難問を解けるようになり、とても嬉しかったのを覚えています。私が家庭教師を続ける最大のモチベーションは生徒さんたちの「やっとわかった」「できるようになった」という笑顔に出会うことです。

ここで、実際に頂いた体験談をご紹介します。結果、志望校は不合格でしたが、「私は頑張った」と胸を張って言える、良い経験をした、と真剣におっしゃっていました。

中学受験を通して努力をつづけ、結果につながることのよろこびを経験できます。もちろんスポーツや芸術分野など色々な場面で経験できることですが、その機会を一つ増やせるということです。 

大学受験に有利なカリキュラム

進学に特化した中高一貫校では、高校受験対策が必要ないというメリットを生かし、大学受験対策に向けた独自のカリキュラを組んでいます。たとえば数学においては、ほとんどの中高一貫校で高校1年生までに高校数学ⅠAⅡBまでを履修し終え、あとの2年は数学Ⅲと実践的な受験問題対策にあてています。

これにより、余裕をもって充実した大学受験対策を行うことができ、大学の選択肢増やせることは間違いないでしょう。

私自身、高校3年生の時に、理系のクラスから文系のクラスへ移動し、現役で大阪大学の文系学部へ進学しました。いわゆる文転です。これが公立高校のカツカツのカリキュラムでできたとは思えません。自分の進路を考え方向転換ができる余裕があるのも中高一貫校のメリットだと思います。 

西宮の家庭教師 かきた
西宮の家庭教師 かきた

高校受験がないというのは「中だるみ」のリスクがある反面、副教科に割く力をセーブできるというメリットがあります。特に兵庫県は高校受験の内申書における副教科の占める比率がとても大きいので、公立高校対策をするならば、副教科の提出物やテスト対策をカンペキに仕上げることは必須です。

もちろん副教科も、人生において必要なことをたくさん教えてくれる大事な科目ですが、経験ベースで十分。テスト期間にわざわざ時間と労力をかけて暗記することでもないよなあ…と公立の中学生を指導するといつも思います。

好きな学校を選べる

中高一貫校では学校説明会やパンフレット、ホームページなどで教育理念を明確に示しています。また、強みのある教科があったり、力を入れている部活動があったりと、学校ごとの特色が色濃く表れています。

これに対し、公立中学校では住んでいる地域で無作為に子どもたちが集められます。都道府県単位で採用された教職員が配属され、数年単位で転勤が行われるため、授業のレベルもまちまちで、ある意味運任せの状況であるのが現実です。学校側が独自色を打ち出すことはあまりなく(素行が悪い、成績が良くない等の自然発生的な特徴が現れることはあります)、望むような教育が受けられない、入りたい部活がない等の可能性があります。

わたしの生徒さんの中に、将来スポーツのプロを目指している子がいます。公立中学校の部活ではレベルの高い練習ができないので、部活のレベルの高い中高一貫校や、逆に放課後の自由度が高くスクールに通いやすい学校など、選択肢を広げるために受験勉強をしています。このように基準は人それぞれですが、「選べる」ことは重要です。

 

中学受験のデメリット

他のことをする時間が削られる

中学受験をすることになると、受験勉強が生活の中心となり他のことをする時間をかなり削られることになります。友だちと遊ぶ時間がなくなったり、続けていた他の習い事をやめることになるなどの影響が出てしまいます。 

費用がかかる

中学受験をして中高一貫校に通うことは費用面で大きな負担となります。受験対策費用だけでなく、学費や交通費も公立中学校と比べて割高となります。私自身はかなり親に無理をしてもらっていたと思います。一般的なイメージに違わず中高一貫校に通っているのは経済的に余裕のある家庭という傾向はあります。

また、私は中高で塾・予備校には一切通っていません。入学後の努力次第でそれらの費用は押さえられると思います(中高一貫校で塾に通っている人もたくさんいました)。

ちなみに、給食がないので昼食代やお弁当を作るなどの負担もかかってきます。

価値観の近い人たちが集まりがち(?)

一般的に、公立中学校では家庭事情もさまざまで、進路や就きたい職業などもバラエティに富んでいるといわれます。中学生の多感な時期に、様々な価値観を持った人と出会うことはとても重要です。確かに、私の通った中高一貫校では、先述の通り経済的に余裕のある家庭の子が集まっていたのは間違いありません。また、医学部進学希望者で1クラスできるなど、進路のバラエティが広いとは言えません。

ただ、判で押したような似通った集団かというと実際はそんなことはありません。飛びぬけた個性をもち努力する才能もある人たちの集まりだった印象です。集まる人たちのバックグラウンドに少し偏りがあるのは否定できませんが、「中高一貫校だから視野が狭まる」は成り立たないと思います。

 

まとめ

個人的にはメリットの方が大きいと感じる

今まで見てきたように、中学受験をするかどうかにはそれぞれメリット・デメリットがあり、正解はありません。それでも私は中学受験を強くお勧めします。

目標に向かって努力・挑戦するというプロセスは、ふつう人生においてそう多くはありません。このチャンスを逃すと、次は3年後、高校受験です。中学からそのまま就職した場合、もしかしたら一生そのような機会を得られないかもしれません。

努力・挑戦できる。その発想ができる。

「努力と挑戦なんて、大人になってからでもできる。機会は自分でつくればいい」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、努力・挑戦をしなくても生きてはいける(とされている)のが今の日本の社会です。努力する経験の浅いまま大人になった場合、果たして「よし、努力して挑戦してみよう」と発想できる大人になっているでしょうか。

私はたまたま兄が中学受験をしたので、まあ自分もやっておくか、くらいの気持ちで中学受験をしました。紆余曲折を経て大学受験を2回受け、国家試験も受けました。それぞれ、かなりの量の勉強をしました。その中での「目標に向かうときの、気持ちのもっていき方」は、やはり中学受験の時の経験がベースにあると思います。もしあの時、中学受験をしていなかったら「何かやろう」と思う人間にすらなっていなかったかも、と思います。

本人が「やろうかな」と思った時点で一つのチャンス

もちろん、中学受験をしていない方にも、努力家の方はたくさんいらっしゃいます。努力・挑戦プロセスは勉強だけではありません。しかし、スポーツと違うのは、「やる」と決めさえすればその土俵に立てること。高価な道具は不要です。鉛筆とノート、あとは本屋さんに行きさえすれば始められます。これは案外、貴重なチャンスだと思うのです。

私も「もし自分が公立の共学に行ってたら、どんな学校生活だったかな。楽しかったかな」と思うこともあります(男子校だったので…)。100%自分の選択が正しかったなんて言えません。みんな、そうだと思います。でも「11歳の決断の結果として今の自分がある」という自覚はプラスになると思います。やらなければそれはありません。

この記事が中学受験を検討している人たちにとって少しでも参考になれば幸いです。家庭教師ダイアログでは多くの中学受験対策を経験しています。兵庫県・大阪府で中学受験対策をご希望の方、お気軽にお問合せください。