西宮の家庭教師ダイアログです。
好評の化学コラム、今回は「水分子の形が折れ線のワケ」です。
共有結合でできた分子はその結合のしかたによっていろいろな形をしています。実際にその形を肉眼で見たことがある人はいないですが、分子の形はその性質に直結するのでとっても大事です。
例えば、水分子H₂Oは「へ」の字のような折れ線型をしています。これはなぜでしょうか。酸素原子の周りには、水素原子との結合に使われる二組の共有電子対と二組の非共有電子対が存在しています。それぞれの電子対は反発しあっており、それが3次元の空間でバランスを取ると四面体の頂点の方向を向くことになります。そのうちの二つに水素がついているのですから、結果的に分子の形は折れ線型になるのです。
そして、この折れ線型こそが「水の水らしさ」を特徴づけているのです。水に対し「ありふれた物質」というイメージを持っているかもしれませんが、水はかなり「変」な物質であると言えます。常温常圧で液体、個体よりも液体の方が密度が大きい、色々な物質を溶かすことができるなど、他の物質にはない珍しい特徴を持っています。これらは水分子が折れ線型であることと関係があります。
もし、水分子が折れ線型でなければ、地球上に海はなく、雨も降らず、生物は現在のような形では発展していないでしょう。